2024年11月28日木曜日

ハナレザル♂によって噛み取られた丹沢老♂の下顎        The Tanzawa old male monkey mandible bitten off by a solitary male Japanese monkey

オスザルたちの頭骨を見比べていて、前回アップした丹沢老♂の左の下顎の2本の切歯と犬歯が歯茎から失われ、同時に上顎の第一切歯が欠如している(図1)のは、この個体が「0~2歳くらいの時に発情季に群れに接近してきたハナレザル♂に襲われて噛み取られた」のであり、子殺しまでには進行しなかったからだっと考えられる。
幼少期に噛み取られたから、成長共に上顎の右の第一切歯が右側に左の第二切歯が右側に曲がったのでないかと考えられる。さらに幼少期に噛み取られたために左右の下顎の長さに違いが出たものと考えられる。*但し、左の噛み取られた方の下顎の方が長いのだ(非常に興味深い)。
図1.丹沢老♂ニホンザルの正面からの頭骨
発情季に接近したハナレザル♂により、ぼくが調査・観察していた箱根T群のグシャオが顔面を噛み取られた(図2)。

図2.鼻から上顎部分を噛み取られた2歳♂のグシャオ
1974年1月
グシャオ(名前は上顎部分が噛み取られてからつけられた)は鼻から下の上顎部分が噛み取られた。3歳になってから群れから出ていった。*このグシャオの件については拙書「頭骨コレクション」、9噛み取られても平気な骨p100~105を見て下さい。
 
丹沢老♂は幼少の頃に、下顎の左側の切歯と犬歯、同時に上顎の第一切歯も噛み取られたのだろう。それでも生きていて5,6歳の時に生まれた群れから出て他の群れに加入し、ぼくが見た時は恐らく、第三か第四の群れである伊勢沢の馬ノ背群に加入していたのだ。その時は、背や足は曲がってよたよた歩いていた。

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