独協医科大の哺乳類頭蓋データベースやミシガン大学のADWのヒトの頭骨を見ていて、歯が前の方にちょっとあるだけだ(図1)。つまり歯列が前半分よりさらに前にある。スローロリスとリスザル(図2)やサバンナモンキーとハヌマンラングール(図3)の頭骨を裏から見ると最後位の臼歯は、頭骨の前から半分以上前にある。
図1.ヒトHomo sapienceの頭骨 from ADW
図3.左:サバンナモンキーChlorocebus aethiops 右:ハヌマンラングールSemnopithecus entellus
しかし、齧歯目や偶蹄類の最後位の歯は頭骨の長さの半分くらいの位置かそれ以上後ろにある(図4)。
図4.左:ハタネズミMicrotus montebelli 右:イノシシSus scrofa
サルの仲間は口吻が短い。口吻を形成するのが前顎骨と上顎骨、鼻骨とするとこれらの骨の割合がネズミやイノシシに比べて短くなっていることと、大孔が頭骨の真後ろから中央に移動し、さらに頭頂骨が大きくなったことが要因だろう。
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この歯列の頭骨の中での位置について、他の頭骨を眺めると、モグラの歯列もサルのように前に位置し、イヌ科を除く食肉目の動物も歯列が前半部に位置していた(図5)。
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