前回にネコ科の頬歯は4本で、臼歯(第一)が米粒状で小さいと述べた(図1)。しかし、ネコ科以外の食肉目では第一臼歯は裂肉歯と同じくらい大きい。
図1.ネコ科Felidaeの米粒状の第一臼歯(→)
ネコ亜目のマングース科のジャワマングース(図2)やジャコウネコ科のハクビシン(図3)でも、第一臼歯は裂肉歯と同じ位大きい。
図2.ジャワマングースHerpestes javanicusの大きな第一臼歯(→)
第一、二、三、四前臼歯が揃っている。米粒状の第二臼歯もある
図3.ハクビシンPaguma larvataの裂肉歯と変わらない大きさの第一臼歯
イヌ亜目の歯を見ても第一臼歯が裂肉歯と同等に大きい。イヌ科のキツネ属のホッキョクギツネ(図4)やタヌキ属のタヌキ(図5)、アライグマ科アライグマ属のアライグマ(図6)の第一臼歯(m1)とすぐ前(写真では上)の裂肉歯(pm4)の大きさと変わらない。 図4.ホッキョクギツネVulpes lagopusの大きな第一臼歯(m1)
前臼歯は4本、臼歯が2本ある
図5.タヌキNyctereutes procyonoidesの大きな第一臼歯(m1)
図6.アライグマProcyon lotorの大きな第一臼歯(m1)
ツキノワグマではm1がpm4より大きく、さらにm2はさらに大きい(図7)。
図7.ツキノワグマUrsus thibetanusの大きな第一臼歯(m1)とさらに大きい第二臼歯(m2)
イタチ科のアナグマ属のアナグマの第一臼歯(←)は裂肉歯よりも倍以上大きい(図7)。テンは裂肉歯と第一臼歯は同じくらいの大きさだが、イタチの第一臼歯は少し小さい(図7)。
図7.イタチ科MustelidaeのイタチMustela itatsi、テンMartes melampus、アナグマMeles melesの上顎の第一臼歯(m1←)
これら、ネコ科以外の食肉目の動物たちは自分より大きな動物を襲って食べるのは、裂肉歯が第一臼歯より明らかに大きい、マングースとイタチであって、他の動物たちは肉食と云うよりも雑食性であり、昆虫やムカデなどの節足動物や果実を臭いとヒゲ接触で感知して主に食べていて、眼窩が顔の横にあることからも動き回る哺乳類や小鳥などを見て捕食することは不可能とも云える。それが、裂肉歯と第一臼歯に表れている。ツキノワグマの大きな第一臼歯やより大きな第二臼歯はイノシシのように果実よりも固いドングリ類やタケノコのような植物や葉や草をも食べるのに発達したと思われる。アナグマの非常に大きて平べったい第一臼歯はその鼻面を地面につけて採食する行動からも節足動物の硬い外骨格まで磨り潰して食べていると思われる。
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