2021年3月5日金曜日

小哺乳類の骨の特徴3):大腿骨と脛骨・腓骨 トガリネズミはモグラよりも足首を動かせない? Shrews can't move their ankles than moles?

アカネズミの脛骨と腓骨は脛骨の遠位端(足首の方)で合体し、脛骨体とは離れて近位端(膝の方)で再び接しそうになっている(図1)。この脛骨と腓骨が足首の方で合体・癒合するのは、カヤネズミやマウスやラットやハムスタもそうだ。齧歯目の動物たちが脛骨と腓骨が合体するのかと云うとリスは脛骨と腓骨は離れている(図2)。
しかし、どうも日本に生息するトガリネズ目のモグラ科やトガリネズミ科の動物たちは全て脛骨と腓骨が脛骨の半分くらいのところで合体し、まるで脛骨から腓骨が出ているかのような状態だ(図3,4,5,6)。特に、モグラ科よりもトガリネズミ科のジネズミやトガリネズミの方が脛骨の近位端(膝の方)よりになっている(図7,8)。この脛骨と腓骨の合体・融合はぼくにはいくつかの事で理解に苦しむ。
一つ明らかに言える事はサルのように足を外側に向けたり、内側に向けたり、様々な方向に向けなければいけない動物たちは、脛骨と腓骨がバラバラでありしかも腓骨も太くがっちりしている。一方、シカやカモシカのようにただ前後運動しかしない動物たちは脛骨と腓骨が殆んど合体し一体化している(この話題は、別の機会にアップしたい)。シカの足首の脛骨遠位端と足根骨を見て欲しい(図9)。
図1. アカネズミの左右の大腿骨・脛骨・腓骨、前から 
図2. 左大腿骨・脛骨・腓骨、前から 左:リス 右:アカネズミ

図3. アズマモグラの左右の大腿骨・脛骨・腓骨 前から
図4. アズマモグラの左右の大腿骨・脛骨・腓骨
後から

図5. ヒミズの左右の大腿骨・脛骨・腓骨 前から

図6. ヒミズの左右の大腿骨・脛骨・腓骨 後ろから

図7.ジネズミの大腿骨・脛骨・腓骨 後ろから
図8.トガリネズミの大腿骨・脛骨・腓骨 前から

ここで、疑問に感じるのは、モグラやヒミズはトンネル内の土を蹴り出したり、細いトンネルを移動するのに足は使われているのは理解できる。しかし、ジネズミやトガリネズミは地中でトンネル生活はしていないのでモグラ以上に足を使っていると思っていたが、脛骨と腓骨を対比させるとジネズミやトガリネズミは走り回るために足は使われるが、足首を左右に回転させるような動きはモグラ以上に出来ないと思われる。
図9. シカの脛骨遠位端と足根骨
図上:F,踵骨 T,距骨 C,中心足根骨 Om,第三中足骨 
Ti,脛骨と腓骨の合体の下腿骨  Mt,外果(腓骨だった骨)
図下:シカの足首の状態(前後しか可動しない)

0 件のコメント:

コメントを投稿