下肢の脛骨と腓骨の関係を調べていた筈なのに、CFさんから添付されたシカの後半部の頭骨から、頭骨の事が気になり調べ始めた。前顎骨と鼻骨との関係と云うか状態に興味が魅かれた。で、あらためて動物たちの頭骨を見直している。カモシカやキョンでは前顎骨が鼻骨に接しないが、イヌ、ネコやネズミやウサギ、サル、さらには手持ちのハイラックスや有袋類など殆んど全ての哺乳類では、前顎骨が鼻骨に接する。
ただ、非常に面白いのは齧歯目(図1)や兎形目(図2)では鼻骨の側面に接するのは前顎骨だけで、上から前顎骨が接し癒合する。この二つの目orderの動物たちの前顎骨は他の動物の骨(例えば鼻骨の幅や長さ)の割合に比べると大きい。口吻部分が前顎骨と鼻骨だけからできている。
図1. スワヒリ名Buku Cricetomys gambianus
図2. カイウサギOryctolagus cuniculus
この前顎骨が大きな原因は両目とも切歯が無根で伸び続けるため、上の切歯の根は上顎骨に接するところまで伸びている。このことは前顎骨が鼻骨側壁と全面的に接するのは、前顎骨から出る切歯が無根の切歯であることと関係するだろう。そう考えると無根の切歯を持つ霊長目アイアイDaubentonia madagascariensisや長鼻目ゾウ科Elephantidaeなどの前顎骨も齧歯目や兎形のように鼻骨側壁に癒着するのだろう。っとすると北極海に生息するイッカクMonodon monocerosの前顎骨も同じだ!
無根の切歯が前顎骨を大きくしているのだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿