2020年10月27日火曜日

センザンコウとアルマジロの大きな違い The big difference between Pangolin and Armadillo

 ぼくが先日プレゼントされたセンザンコウは頭から尾までぼくらの爪と同じケラチン質の大きな硬い鱗に覆われている。外耳はない(図1)。センザンコウは台湾やフィリピンを含む東南アジア・中国・インドからアフリカまで生息している鱗甲目である。一方、よく似たアルマジロは南米から北米かけて生息する。こちらの身体を覆う鎧も硬いケラチン質から出来ている。外耳ある(Wikipedia, 図2)。

この両者は全く異なった起源である。哺乳類は先ずカモノハシなどの単孔類とオポッサム、カンガルーの仲間の有袋類とイヌやヒトなどの胎盤を持つ有胎盤類に大きく分けられる。

有胎盤類はアフリカ獣類と異節類、北方真獣類の三つに分けられる。センザンコウはこの北方真獣類でありイヌ、ネコなどと近縁だ、しかし、アルマジロは異節類になる。

両者が似ているのは似たような生活環境にいたための収斂進化Convergenceの結果である。水中で生活する動物たちが、鯨偶蹄目のクジラやイルカが前脚が鰭上になり、また、食肉目のアザラシやイルカの前脚も鰭上になったことと同じだ。

図1. パラワンセンザンコウ
図2. Nine-banded Armadillo from Wikipedia

骨格を比べた。Wikipedia に骨格が載っていた。センザンコウ(図3)とアルマジロ(図4)の上肢・下肢ともガッチリしており、写真からは肩甲骨や椎骨も大きな差は見つけられない。センザンコウは木に登るから下肢の脛骨と腓骨ともしっかりしているが、同様にアルマジロも脛骨と腓骨がしっかりしているのは、図2のように下肢で立ち上がる姿勢や穴を掘る事と関係しているかもしれない。
図3. Pangoline(センザンコウ) from Wikipedia

図4. Armadillo(アルマジロ) from Wikipedia

頭骨を比べた。先ず、図5と図6底面からの頭骨を見て欲しい。センザンコウには頬骨弓がないが、アルマジロには横に張り出たガッチリした頬骨弓がある。さらにセンザンコウには歯が無いが、アルマジロには9対もの歯が並んでいる。しかし、全ての歯の歯冠の表面は平らのようで同歯性に見える。センザンコウの口蓋骨は細いがアルマジロは幅広い。
図5. パラワンセンザンコウ頭骨底面から
図6. 9-banded armadillo 頭骨底面から from ADW
ADW:Animal Diversity Web
両者の下顎骨も大きく異なる。センザンコウは歯がなく、まるで割り箸状に細い。が、アルマジロの下顎骨は歯があり、下顎枝は前後に幅広く、関節突起や筋突起、さらには角突起はしっかりしており、下顎体も上下に厚く、頬歯が9本あるように見える(図8)。しかし、下顎骨を上から見ると歯は11対あるようだ。哺乳類の基本的歯式は3・1・4・3の切歯・犬歯・前臼歯・臼歯を合わせると11対あるので、アルマジロの下顎骨には全部の歯が揃っていることになる。切歯3本と犬歯と第一前臼歯は臼歯と異なっているように見える。
図7. パラワンセンザンコウの側面からの下顎骨
図8. 9-banded armadillo 下顎骨側面から from ADW
図8'. 9-banded armadillo下顎骨上から from ADW

異節類のアルマジロには歯があり、北方真獣類のセンザンコウには歯が無いのは、センザンコウの方がアリやシロアリ食いに特別に分化したのだろう。南米ではアルマジロと同じ異節類のアリクイがアリ食いに分化したので歯が無いがアルマジロはアリも食べるが爬虫類や根菜も食べる雑食の方に向かったのだ。

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