ーー動物糞を洗って内容物を調べる(同定)までの手続きーー
栂立尾根で拾ったテン糞4を洗うと大半が長さ10mm内の黒っぽく柔らかい毛であり、その毛に絡まってたくさんの骨や歯があった。毛から骨や歯を選り分けるのに1時間以上を費やした。プラの鉢受けに残差の毛玉をあけ、水を加えて、ピンセットで毛を少しだけ摘んで骨や歯を振るい落とす(これが根気が必要だ!)。こうやって毛と骨片を選り分け、最後に毛を摘まんで捨てる。水の中に残った骨片の間に毛やゴミが残っているので、洗面所で水を加えては骨片を流さないように上水だけを流し落とす。それを繰り返す。
残った骨片を乾かし、大きめの骨や歯を拾ったものが図1である。しかし、残っているもまだたくさんある(図2)。
図1. 大きい骨や歯を拾ったもの
右側の赤線で囲っているのは下顎骨と上顎骨と臼歯と切歯、←は切歯や臼歯だ。他は頭蓋骨や四肢骨の部分と右の黒っぽい塊は指骨と爪だ。
図2. 鉢受けに残っている小さな骨片
図3. A:上顎骨と臼歯、B:下顎骨と臼歯、他は切歯
丹沢では、柔らかく長さが10mm前後の黒っぽい毛なら、ほとんどがトガリネズミ目のモグラ科ヒミズ亜科のヒミズかヒメヒミズ、あるいはトガリネズミ科のジネズミかカワネズミだ。AかBのような臼歯があったなら、トガリネズミ目は間違いない。トガリネズミ科の特有の上顎第一切歯が見当たらないことと、図3のBの下の下顎骨の3本の臼歯の内真ん中の臼歯が一番大きい事からかトガリネズミ科のカワネズミやジネズミではなくヒミズ亜科のヒミズかヒメヒミズだ!ここまでで良いだろう。この時に参考にしたのは阿部永著「日本産哺乳類頭骨図説」北大出版だ。この本ではカワネズミ、ジネズミ、ヒミズ、ヒメヒミズの頭骨の上面や底面、側面からの図と下顎骨(内外から)の側面からの図が載っている。残念なのは頭骨の最大長が書かれているが、図中でスケールが載っていない。できれば、上の図3のように1mmメッシュの方眼紙上に置いた図or写真にして欲しかった。さらに下顎骨の上からの図も欲しい。
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