2019年3月11日月曜日

テンはアカネズミやモグラを食べ始めている。 Marten began to eat field mouse and mole.

3月6日に伊勢沢林道を歩いて、ちょっと尾根を歩いた。
林道上では、8個のテン糞を見つけた。尾根上ではタヌキのタメ糞1個とテン糞1個であった。
翌7日は朝から小雨が降っており、糞洗いができるような日ではなかった。今回見つけたテン糞8個の内7個にアカネズミかトガリネズミ目の小哺乳類か鳥を採食したものであった。特に注目すべきはこれまで1)モグラ科の動物ではヒミズであったが、テンがモグラ(アズマモグラ)を食べた歯や骨が出てきたのは6回目だ(尚、アナグマはこれまで4回モグラを食べている糞を見つけたが、タヌキ糞ではない)。また、テン糞2では2)アカネズミとモグラの2種類の小哺乳類を食べたものであった。

これをアップして気が付いたのだが、テン糞2とテン糞3、テン糞4を排泄した個体は同一個体の可能性が高いのではないかと考えている。
テン糞2: 07:55
テン糞3: 08:00
テン糞4: 08:08
テン糞2、3、4を見つけたGPS上の位置はこの日も林道上の軌跡は随分メチャクチャであるが(図1)、テン糞2からテン糞4までの間にヤマルリソウ、シカ食痕などを撮っているので、テン糞2と4の間は100mくらいなものだろう。だから、モグラやアカネズミが内容物にあって、骨や歯が重複していないので、この付近に生息する一頭のテンがモグラとアカネズミをほぼ同時に食べたと思われる。
同じように、ヒミズの毛や不明な0.5ミリの厚さの殻がテン糞8や9から出ているが、これらの糞も同じ個体が排泄したものだろう。
いずれにしても啓蟄の時季に合わせて動き出した虫たちを食べるヒミズやモグラ、さらにはアカネズミの行動も活発になってきているようだ。
図1 3月6日のテン糞2②、3③、4④のGPS上の発見場所

表1. テンとタヌキの糞の水洗いによる内容物

7:48 テン糞1
サルナシ種子・果肉果皮、ケンポナシ種子・果柄、キブシ種子、腐葉砕片

7:55 テン糞2
キブシ種子、サルナシ種子、不明種子、アカネズミ臼歯・下顎切歯・下顎・骨片・毛、アズマモグラ臼歯・橈骨・下顎・毛
図1.テン糞2から出てきたアカネズミの下顎や臼歯や下顎切歯(赤線のEで囲った部分とC)、アズマモグラの下顎A・B・F、臼歯D、橈骨G、脛骨H、中央上部の3個の種子は左からサルナシ、キブシ、不明種子(テン糞4に含まれる種子と同じ)


8:00 テン糞3
イヌツゲ種子15個、キブシ種子13個、ヒノキ葉、カマキリ鎌・肢、羽毛・骨片、アカネズミ臼歯・環椎・脊椎・骨片・毛
図2.コカマキリ(昆虫に詳しいK.Toyodaさんより)と思われる
図3.アカネズミの第1臼歯(上下左右調べていない)


8:08 テン糞4
種子状不明物質、アズマモグラ爪・上腕骨遠心部・橈骨近心部・骨片・
図4.種子状不明植物質 これは何?

図5.アズマモグラの左右の上腕骨A、橈骨B、爪C、中央の小さな骨は手根骨だろう。

8:25 テン糞5
ヒミズ骨片・大腿骨頭・脛骨腓骨骨片
図6.ヒミズの大腿骨右と脛骨腓骨左

9:35 テン糞6
サルナシ種子・果肉果皮


9:43 タヌキ糞
キブシ種子、サルナシ種子、ケンポナシ種子、腐葉砕片、節足動物肢・外皮、土砂

10:58 テン糞7
サルナシ種子・果肉果皮、羽毛

11:05 テン糞8
キブシ種子、茶黒色のフジorジャケツイバラの種皮のような熱さ0.5ミリくらいの殻、カマドウマ脚・産卵管・外皮、小動物毛ヒミズかな?・2.5cm白い毛
図7.テン糞8からでた不明の殻、テン糞9の殻も同じものだ
これは何の殻だろう?

11:05 テン糞9
不明種子の殻多数(ケンポナシ、ジャケツイバラ、ヤマフジの種子の殻か?)、キブシ種子、ヒノキ葉、ヒミズ尺骨骨片

獣毛が混じっている糞の分析には水洗後、細かな歯や骨片の中に同定できる物を見つけるのに1個当たり、机の上でピンセットと虫眼鏡などを用いて1時間近く掛かった。また、乾燥させた後、クローズアップフィルターを付けたレンズで写真を撮りながら新たに同定できる骨片が見つかることもあった。

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