暮れにN氏から送って貰ったピグミーポッサムの頭骨が晒骨できた。
が、かなり注意を払って洗ったのにも関わらず右上顎の犬歯、左上顎の第二前臼歯、上顎の切歯5対の8本、左右の聴胞の後ろ半分を流してしまった。
頭骨はヒミズの骨のように非常に薄く華奢であるが、図1や図3から判るように矢状隆起が発達している。前頭骨から出る後眼窩突起は僅かに膨らみ、頬骨側頭骨突起と側頭骨頬骨突起が癒合して頬骨弓が形成されているが、骨が薄ぺらにも関わらずその癒合部分が全くわからない程完全に合着している。これは、ぼくが持っている真獣亜綱の哺乳類では老齢個体に現れるものだ。
図1 上から
上顎の切歯は5対もあり、ちょっと信じられないくらいである。哺乳類の基本的歯式は上下とも3・1・4・3であり、減ることはあってもこれ以上増えることはないと学生たちに話していたのだ。上顎の歯式は5・1・3・4 のようだ。
下顎は切歯が4対で、4・1・3・4 のようだ。
もう、ネズミやイヌのような真獣亜目の動物の歯とは全く異なっている。
歯だけを見ると、ミミズや節足動物などを食べるトガリネズミ目のジネズミやヒミズ、モグラの仲間か小翼手亜目のコウモリの仲間の歯によく似ている。
図2 上顎の底面から
もう一つ気になるのは、下顎骨の角突起である。図1や図2からも判るように下顎角(角突起)が伸びて内側に曲がっている。このような内側への曲りは真獣亜目の哺乳類にはない。
図3 上顎左側面
調べるとまだまだ真獣亜目の動物の頭骨とは異なる部分があるだろう。有袋類の頭骨はフクロモモンガもあるので、それとも見比べてみたい。さらに、ピグミーポッサムは木に登っているので、手足の骨も早く見たい。が、頭部を除いて身体の部分は水に浸けて物置に置いているので、まだ殆んど腐敗が進んでいない。春まで待つことになる。
図4 下顎左側面
このピグミーポッサムの学名を知りたい。
図5 下顎骨をつけて左側面から
図6 下顎骨をつけて上面から
何年も前の記事に今更投稿を失礼いたします。
返信削除この生物はピグミーポッサムではありません。
ペットルートではピグミーオポッサムという名称で流通している動物で、
学名 Monodelphis domestica、和名はハイイロジネズミオポッサムです。
匿名さま
返信削除ピグミーオポッサムという名称で流通している動物で、
学名はMonodelphis domestica、和名はハイイロジネズミオポッサムとの事、
ありがとう!ございます。
このコメントに2022年12月18日に気が付きました。
これからも宜しくお願いします。