2017年6月29日木曜日

見ているのに見えない!  Although I have seen, I can't see it!

昨日、散歩に出て買ってきたパンを食べた後、縁側に干していたサルの骨を取り片付けた。この骨は全体に脂質が残っていて少し匂うので、軽く煮たりして脂質分を抜き、その後水に浸けていたものを縁側に並べていたのだ。さらに、2011年12月の丹沢実習で拾ったアナグマの骨(下の写真)を整理して見やすいように透明のプラスチックの箱に入れていた。
2011年12月9日谷太郎林道から沢沿いの道に入ったとろこで見つけたアナグマ

頭骨以外の骨は全部拾えてはいないが、肩甲骨、上腕骨、大腿骨、脛骨、肋骨は学生たちも拾ってくれたのでまーまー拾うことができた。しかし、寛骨は拾ったが左側の一部だけだったり、左の大腿骨の本体部分はあるが、遠位部や近位部が欠けていたり、環椎はあるが、軸椎が無いなど不完全であった。
が、左右の上腕骨は何故か完全であった。その上腕骨を見て、エ!ドウシテ!と自分の目を疑ったのだ。上腕骨の遠位部の内側にあの孔「顆上孔(ACたんぽぽさんより名前を教わる)」があるのだ。
この顆上孔supracondylar foramenはネコ科やリス科などの登攀哺乳類にあることが分かっていたので、アナグマに見つけたのでびっくりした!
アナグマMeles melesの上腕骨humerus正面から 顆上孔supracondylar foramenに糸を通している

後面から 上の上腕骨をそのまま裏返した

しかも、この顆上孔は毛糸も楽々と入るくらいの大きな孔なのだ。ハクビシンやマングースはネコ亜目の動物なので理解できる。しかし、アナグマはイヌ亜目のイタチ科の動物だ。でも、テンは木に登って、蕾や花芯や果実を食べる。そうするとテンの上腕骨には当然顆上孔があるだろう。ぼくはテンやイタチの頭骨は持っているが、他の身体の骨を持っていないのだ。テンやイタチの頭骨は50年くらい前に当時世田谷にあった剥製屋さんから譲り受けたもので、山ではテンやイタチの死体を拾ったことがないのだ。テン糞は拾うのに!
話しを戻そう。アナグマは木に登らないだろう。あの大きな爪で穴を掘ることが顆上孔の存在と関係しているのだろうか?

今まで何度アナグマの死体を見つけたことだろう。しかし、上腕骨の顆上孔は全く気が付かなかった。見ていたのにぼくの頭が認識していなかったのだ。あー、こんなことがいっぱいあるんだ。何かの固定観念や規制概念によって「見ているのに見えない」ことがあるのだ。それは何も骨だけに限ったことではないのだ!

2017年6月28日水曜日

小雨の中の散歩  Walking in the misty rain.

今朝、引地川の親水公園までの往復10キロを約2時間40分かけて散歩した。久しぶりの散歩だ。もう身体を動かさないと脂肪がどんどんついていくので脂肪を燃やして消費しなければならない。折り畳み傘をザックに忍ばせて出たが、すぐにしょぼくれた雨が降ったり、止んだりだ。結局傘を差したのは10分くらいであった。が、汗のような雨でやられたような衣類の濡れ方であった。

住宅街を歩いているときは、アジサイの花とともにクチナシの白い花が咲き、また、ザクロの真っ赤な花も咲いていた。さらに、ノウゼンカズラが雨樋を伝って橙色の大きな花を咲かせているお家もあった。
引地川沿いを歩いているとセンダンが実をつけ、馬鈴薯の花のようなワルナスビの花が散歩道に沿って咲いていた。
アカミミガメが引地川の流れの石で甲羅を乾かして?いた。

水田にはアオサギがじっと小魚かカエルを狙っていた。この水田に2羽のカルガモがバシャバシャと歩いていた。
出遭った人は、ぼくのような散歩している人一人、イヌ連れ一人、親水公園の東屋の休み処でイヌを連れ一人が休んでいた。全員、ぼくくらいの年齢層の人たちだ。途中、2度、ん?この香り!ちょっと甘い匂い!の場所を通過した。が、それが何の香りなのか解らなかった。今、ちょっと思い出した。あれはマタタビの花の匂いではなかったのか?公園の芝生にはポツンポツンとネジバナがピンクの花をつけ、ビオトープの周りにはヘメロカリスの花々が艶やかに咲いていた。帰路、パン屋によりフィシュ・サンド2個、アンパン2個、マメバン2個を買った。これで1600円を超えた。あのパン屋は美味しいが高いパン屋のようだ。


2017年6月26日月曜日

食肉目の口蓋骨水平板末端の形状 The difference shapes among the end of Lamina horizontalis in Carnivora, Japan.

丹沢山塊に生息する食肉目Carnivoraは、イヌ科のタヌキ、ノイヌ、キツネ、ネコ科のノネコ、ジャコウネコ科のハクビシン、アライグマ科のアライグマ、イタチ科のイタチ、テン、アナグマ、クマ科のツキノワグマの10種類がいる。さらに、それらに、奄美大島のマングースを加えた11種類の口蓋骨水平板の末端(下図の頭骨底面の赤丸部分)の形状に違いが見られた。各図をクリックすると拡大します。
ハクビシンの口蓋骨水平板の末端はV字状に深く入り込むが、逆にアライグマの末端は明らかに大きくV字状に尖った。一方、ネコの多くは少し尖るがイエネコAのようにほぼ平の個体もいた。これらの口蓋骨水平板末端の違いがどのような原因によるものか不明である。一つ言えるのはハクビシンの口蓋骨水平板の末端がV字状に中に大きく入り込むのはコジカにも見られるので興味深い。

 イヌ科Caidae
タヌキNyctereutes procyonoides
クロ(カイイヌ)Canis familiaris
キツネVulpes vulpes
ネコ科Felidae
カイネコA
カイネコB
ジャコウネコ科Viverridae
ハクビシンPaguma larvata

アライグマ科Procyonidae
アライグマProcyon lotor
イタチ科Mustelidae
イタチMustela itatsi
テンMartes melampus
アナグマMeles meles
クマ科Ursidae
ツキノワグマUrsus thibetanus
マングース科Herpestidae
マングースHervestes javanicus

2017年6月24日土曜日

古いテン糞の内容物 The contents of old marten's scats.

ー22日の土山峠・堤川林道・湖岸林道歩きの続きー
今回、見つけた糞は僅か2個だけであり(下図参照)、しかも2個とも3,4週間以上古い糞であった。何故、新しい糞を見つけることができなかったのか不思議に思っている。特に、土山峠から清川トンネルに向かう湖岸道路は、これまで必ずと言って良いほど幾つかある橋の上でテン糞を見つけ拾っている。今回、群れが通過したと思われるキイチゴ(多分ニガイチゴ)の種子が入っているサル糞はいくつもあったが、テン糞が何故古い2個しか見つけられなかったのか理由が判らない。
6月22日の林道歩きで見つけたテン糞①と②の位置

ミズキの花柄一つ、不明植物質
テン糞①
 キブシ種子、小哺乳類毛・骨片
テン糞②
明日は、専門学校で高校生向けの授業をやらなければいけない。「これは誰が食べたのかな?? 野生動物の歯のお話」というタイトルが与えられているので、午前中は頭骨や食痕の写真やエビフライなどのモノの用意に時間を使った。

2017年6月23日金曜日

3時間もかからない林道歩き   Forest-road's walking within three hours.

―昨日の続きー
大棚沢の駐車場から25分歩いて7時8分に土山峠のバス停についた。通勤の車が音を立てて向かってきた。大きなトラックが通り過ぎるときはその嵐に巻き込まれないように左手で帽子を押さえ、足を踏ん張って歩いた。宮ケ瀬行きのバスの時刻を確認する。毎時22分か24分のどちらかだ。帰りはトラックの竜巻に巻き込まれないようにバスに乗ろう。
バス停の側にはいくつもニガイチゴが赤い実を上に向けてつけている。ぼくは一粒、もう一粒採って口に放り込む。
辺室山登山口の所から堤川林道へ向かう。橋の下のネムノキが蕾をつけている。
ヤマグリの花が咲いている。
橋を渡って、堤川林道に入って好い匂いと思ったら、イボタノキがまだ咲いていた。
ミラーがあったところにアナグマの死骸を置いたので、ミラーを見る。サルの前足の足跡がついている。ミラーを見て、自分以外の個体がこの鏡の中にいると思い、ミラーに登り犬歯を見せて威嚇したら、鏡の中の個体も犬歯を見せて威嚇してきたので、叩いたのだ。ぼくは、それを撮る。自分が写っている。サルのようにお前は誰だ?とは思わない。
 マルミノヤマゴボウが青い実をつけていた。この実の種子は動物たちの糞の中からは一度も出てきていない。哺乳類は食べないが鳥は食べるのかな?これが色んなところに広がっている分散の方法が判らない。
ん?テン糞だ!昨夜の雨に打たれたのだ。古いがもちろんゲットする。 何が入っているかな?楽しみだ!
 クマヤナギが赤い実をつけている。この実はサルもテンも大好きだ!
堤川林道沿いにはマメガキの木が沢側にも山側にもあり、今が花盛りだ!たくさん鳥が囀っているが、判るのは相変わらずウグイスだけ!先日教わった最後にジーと伸ばす声をだすカワラヒワやセンダイムシクイも鳴いていると思うが皆同じように聞こえる。
8時10分に林道の終点に着く。9時24分のバスに乗るにはすぐ戻らなくてはいけない。ゆっくり歩いてきたので、30分あれば十分だ。清川トンネルに行く湖岸林道も歩こう。8時半には湖岸の林道を歩いている。

サル糞だ!たくさん落ちている。拾ってみる。キイチゴの種子でできている。もう一つ拾ってみる。これも同じだ。群れが通過したのだ。サルの群れは同じ場所でほぼ同じ時間帯に同じ食物を採食する。社員食堂の給食のように同じ場で同じ時刻に同じ物を食べることによって、仲間意識が強くなる。先ほどのカーブミラーに手形を残した個体はこの群れに着いて歩いている個体だ。群れに入るためにきっと同じキイチゴを食べただろう。 
何故か、新しい車の轍がある。清川村森林組合と右のドアに書かれた軽のボックスタイプの車が止まっている。車を置いて、山に入ったんだ。ぼくはせめてもう一つテン糞を見つけようと歩く。
林道終点の橋のところでテン糞を見つける。今回は二つだけだ。
今までは、土山峠からこの林道の終点まできてから山に入ったのだ。経路の山道を登ってから尾根道に入るとタヌキの溜め糞がある場所があったのだ。今回も林道歩きだけと決めていたので、終点にある道標を撮って戻ることにする。
9時15分から24分発をバスを待つ。上煤ケ谷から土山峠に登ってくるにはジグザクの急勾配の車道が続く。そのため、下る車からは対向車が見えない。土山峠の車道の上に架かる電光掲示板にはドライバーに対して登ってくる「対向車がある」とか「大型対向車がある」とか出る。ぼくは、バスが登って来る時は何と表示がでるのだろうと思っていた。もちろん、、、、、○〇だ!
乗ってすぐ、「次は仏果山登山口です」とテープに吹き込まれた女性のアナウンスがあり、ぼくは近くのボタンを押す。次のバス停までの料金は170円とでる。乗っている人はぼくよりも遥かに年上の帽子を被った女性一人だった。3分くらいでバス停に着き、パスモの入った財布をかざして下りる。
車から離れてから車に戻るまで3時間もかからない林道歩きだった。

2017年6月22日木曜日

アナグマの死骸は持ち去られた! The badger's carcass was carried away.

今朝は5時半に家をでて、懸案の堤川林道に行ってきた。4月21日の丹沢実習で堤川林道でアナグマの死骸を見つけ、もうかなり白骨化が進んでいるので、その死骸をビニール袋に容れて林道の山側の上のところに置いていた。
が、ビニール袋は何か所も噛み破られて、毛も骨のひとかけらも見つからなかった。例え、翌週でも持ち去られていただろう。ぼくは、動物たちに持ち去られることを望んでいたのかも知れない。動物たちに持ち去られないようにするには、漬け物石よりもかなり大きめの大きな石を何個も乗せていなければならなかったのだ。
イノシシの足跡や掘り起こしが数か所にあった。
それにしてももう白骨化しているようなアナグマの死骸をよくも持ち去ったものだ。犯人はアナグマか?あるいはタヌキか?

今回は、大棚沢の駐車場に車を置き、そこから歩いて、堤川林道と清川トンネルに行く湖岸林道のそれぞれ終点まであるいた。帰宅して、パソコンに向かっていて、右足を見たらヒルに吸われた血が靴下を赤く染めている。アナグマの死骸を探していてヤラレタのだ。雨後の為、林道で立ち止まっただけでもヒルがサワサワと頭をふらつかせながら寄ってくる。今日は、ヒル対策はまったくしなかった。これからは必要だ。
土山峠付近のクマノミズキは白い花を咲かせ始め。バス道路沿いのホタルブクロがたくさん咲いていた。堤川林道はまだ寒いのかクマノミズキは蕾だった。
 林道沿いのマメガキはどれも花を咲かせ、たくさんの黄色の小さな花が林道上に落ちていた。

2017年6月20日火曜日

テンはモグラやジネズミも食べている。 Japanese marten eats moles and shrews,too.

今回の林道歩きは、Maruさんから鳴いている鳥の名を教わり、帰ってきてからネットでその鳴き声を聞いて確かめた。でも、まだ、まだ鳥音痴には変わりはない。
拾ってきたテン糞の中から明らかにモグラやジネズミを食べたと思われる骨や歯が出てきた。これは、非常に珍しいことだっと思ったので、過去の1200データーを調べた。モグラは丹沢では2件しかなく、ジネズミは4件あっただけだ。ヒミズは22件あるので、トガリネズミ目の動物たちもテンに食べられていると云える。

ー6月16日宮ケ瀬湖岸林道で見つけたテン糞①~⑭の位置ー

ヤマザクラ種子・果皮
テン糞①
ヤマザクラ種子・果皮・果実
テン糞②
ヤマグワ種子・集合果
テン糞③
ヤマグワ種子・集合果
テン糞④
ヤマグワ種子・果皮・房果16個・果柄19本、ヤマザクラ果実3個
テン糞⑤
ムカデ5センチと8センチ1匹・脚
テン糞⑥
小哺乳類毛・骨片、甲虫外羽・脚・外骨格
テン糞⑦
双翅目頭部・胸部・翅、モグラ毛・前肢爪・骨片
テン糞⑧
下はモグの前足爪(赤線で囲む)と骨片

甲虫外骨格・外羽・脚、ニガイチゴ・果皮・果実
テン糞⑨
ヤマグワ種子・房果・果柄
テン糞⑩
ヤマグワ種子3個、トガリネズミ科トガリネズミ×、カワネズミ×、ジネズミ、毛・臼歯・頭骨片・下顎片、双翅目頭部・脚
テン糞⑪
下はジネズミの下顎骨Mand、上顎骨Max、歯T、肩甲骨S、頭骨の一部Skull

モグラ毛・骨片、直翅目脚・翅
テン糞⑫
下はテン糞⑫に入っていたモグラの骨片
A,Bはモグラの橈骨でAは手首の方で、Bは肘関節の部分、Cは脛骨である。


ムカデ一匹外皮脚7センチ
テン糞⑬
ニガイチゴ果実・種子、ムカデ7-9センチ3匹外皮・脚、トカゲ足・骨片多数・鱗多数
テン糞⑭

テン糞①から⑭までの内容物をまとめて表にした。
12日の伊勢沢林道沿いでは、ヤマグワの実食いよりもヤマザクラの実食いが多かったが、ここでは、ヤマグワの実食いに移行してきている。さらに、ニガイチゴの実食いも入ってきている。ムカデ食いは相変わらずだが、今回、5個の糞で脊椎動物が食べられていた。鳥は無かった。モグラやジネズミが14個の糞中3個も入っていた。今まで小哺乳類として同定できなかったものが51件あるが、これらの多くはこれらのトガリネズミ目の動物ではなかったと疑いを持っている。