昨日、散歩に出て買ってきたパンを食べた後、縁側に干していたサルの骨を取り片付けた。この骨は全体に脂質が残っていて少し匂うので、軽く煮たりして脂質分を抜き、その後水に浸けていたものを縁側に並べていたのだ。さらに、2011年12月の丹沢実習で拾ったアナグマの骨(下の写真)を整理して見やすいように透明のプラスチックの箱に入れていた。
2011年12月9日谷太郎林道から沢沿いの道に入ったとろこで見つけたアナグマ
頭骨以外の骨は全部拾えてはいないが、肩甲骨、上腕骨、大腿骨、脛骨、肋骨は学生たちも拾ってくれたのでまーまー拾うことができた。しかし、寛骨は拾ったが左側の一部だけだったり、左の大腿骨の本体部分はあるが、遠位部や近位部が欠けていたり、環椎はあるが、軸椎が無いなど不完全であった。
が、左右の上腕骨は何故か完全であった。その上腕骨を見て、エ!ドウシテ!と自分の目を疑ったのだ。上腕骨の遠位部の内側にあの孔「顆上孔(ACたんぽぽさんより名前を教わる)」があるのだ。
この顆上孔supracondylar foramenはネコ科やリス科などの登攀哺乳類にあることが分かっていたので、アナグマに見つけたのでびっくりした!
アナグマMeles melesの上腕骨humerus正面から 顆上孔supracondylar foramenに糸を通している
後面から 上の上腕骨をそのまま裏返した
しかも、この顆上孔は毛糸も楽々と入るくらいの大きな孔なのだ。ハクビシンやマングースはネコ亜目の動物なので理解できる。しかし、アナグマはイヌ亜目のイタチ科の動物だ。でも、テンは木に登って、蕾や花芯や果実を食べる。そうするとテンの上腕骨には当然顆上孔があるだろう。ぼくはテンやイタチの頭骨は持っているが、他の身体の骨を持っていないのだ。テンやイタチの頭骨は50年くらい前に当時世田谷にあった剥製屋さんから譲り受けたもので、山ではテンやイタチの死体を拾ったことがないのだ。テン糞は拾うのに!
話しを戻そう。アナグマは木に登らないだろう。あの大きな爪で穴を掘ることが顆上孔の存在と関係しているのだろうか?
今まで何度アナグマの死体を見つけたことだろう。しかし、上腕骨の顆上孔は全く気が付かなかった。見ていたのにぼくの頭が認識していなかったのだ。あー、こんなことがいっぱいあるんだ。何かの固定観念や規制概念によって「見ているのに見えない」ことがあるのだ。それは何も骨だけに限ったことではないのだ!