1992年8月に大雪山に登った教え子のI君が登山道で拾ったエゾシマリスTamias sibiricus lineatusの上腕骨を眺めた。
もちろん、木登りする動物なので、顆上孔supracondylar foramenがある(Fig.1の黒糸を通した孔)。
橈骨と尺骨はバラバラであり癒合していない。
このように橈骨と尺骨が癒合していないのは、日本産の全ての哺乳類でそうである。
モグラでも、アカネズミやノウサギ、イヌやサル、イノシシでも橈骨と尺骨はバラバラだ!
これらの橈骨と尺骨がバラバラなのは、回内・回外運動をしなけれいけないからだ。
シマリスTamias sibiricus sは何時も前指ある手の平を下に向け(回内)、上に向けたり(回外)はできないだろうが、
木登りしたり、クルミの実を齧る時には両手で持ったりして手を割りと器用に動かす。
このため、橈骨と尺骨が別々に動くことができるのだ。
Fig.1 エゾシマリスの左右の上腕骨と橈骨・尺骨
しかし、同じ橈骨と尺骨でも
シカやカモシカでは成長すると橈骨と尺骨は肘から離れた端の方で癒合する(Fig.2)。
Fig.2 ニホンジカの右の上腕骨と橈骨・尺骨
つまり、シカやカモシカの前脚は上腕から爪先までほとんど前後運動しかしないために、
食物の草の根を掘り起こす時にも、橈骨と尺骨を前後に強く動かして別々に動かす必要がない。
この結果、シカやカモシカの前脚の橈骨と尺骨は癒合し合体しつつあるのだ。
同じことは後脚の脛骨と腓骨でも生じている。
接した骨同士は動かさないと癒合するのだ。
ぼくは前屈が子供の頃から苦手だが、腰椎や胸椎が癒合・合体しているかもしれない。
ストレッチをしなければ!
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