先週木曜日に不動尻・唐沢峠付近を歩いた時に拾ってきたテン糞をようやく庭の水道で洗った。
12月に入っているのに、水で手が凍えることもなかった。
先日アップしたタヌキ糞やアナグマ糞はヤマブドウやカマツカ、サルナシの果実を食べていた。
たくさん採ってきたテン糞の大半にカマツカの種子が入っていた。
他に、サルナシ、ヒサカキ、マメガキとなり(下の表を参照)、20個の糞の中で、4分の1に直翅目の足や翅、産卵管が見つかり、さらに10分の1の2個に甲虫の外骨格や脚、翅が混じっていた。
20個糞中で⑱だけが果実を食べていなく、直翅目だけの内容物だった。
稜線上や登山道上にはカマツカの赤い実が落ちており、樹についているのは少なかったので、
林床に落ちたカマツカの実をタヌキと同じように食べていることが判った。
先々週、山形県の「テンの冬期の食性」大津正英、1972、応動昆)を専門学校の授業の教材として使った。捕獲したテン51個体の1968年12月から72年2月までの3猟期の胃内容物を調べたものだ。
これによると、胃の内容物として、
鳥類:ヤマドリ(個体13個体の胃に確認)、ツグミ(1個体)、ホオジロ(2個体)
哺乳類:トウホクノウサギ(18個体)、ニッコウムササビ(1個体)、ヤチネズミ(2個体)
植物質:カキ・果実(6個体)、サルナシ・果実(1個体)
空胃(胃の中に何も入っていない):8個体
という結果であった。
皆さんも御存知だと思うが、ぼくがアップしている丹沢山塊のテン糞の内容物とは大きな違いがある。
丹沢のテンは鳥や哺乳類などほとんど食べられない。上の表で示したように主食が果実であり、副食として昆虫類を食べている。
この山形県と丹沢のテンの食性の違いは、テンの食性の地域差とは考え難い。
テンは、果実も利用するだろうが、本来の主食は他のノウサギなどの哺乳類だろう。
丹沢のテンは主食となるノウサギがほとんどいなくなっているので、仕方なく果実食を余儀なくされているのだ。
テン糞①
サルナシ種子・果肉・果皮
テン糞②
カマツカ種子・果肉・果皮
テン糞③
サルナシ種子・果肉・果皮
テン糞④
マメガキ種子・果肉・果皮
テン糞⑤
直翅目産卵管・脚・翅・外骨格、カマツカ種子、サルナシ種子・果肉・果皮
テン糞⑥
カマツカ種子・果肉・果皮、サルナシ種子、ヒサカキ種子・果肉・果皮、甲虫脚 |
テン糞⑦
カマツカ種子・果肉・果皮、甲虫脚・外骨格
テン溜め糞①糞⑧
カマツカ種子・果肉・果皮
テン溜め糞②糞⑨
カマツカ種子・果肉・果皮、直翅目産卵管・脚
テン溜め糞③糞⑩
カマツカ種子・果肉・果皮
テン溜め糞④糞⑪
カマツカ種子・果肉・果皮
テン糞⑫
カマツカ種子・果肉・果皮、ヒサカキ種子・果肉・果皮
テン糞⑬
左:ヒサカキ種子・果肉・果皮、サルナシ種子 右:サルナシ種子・果肉・果皮
テン糞⑭
カマツカ種子・果肉・果皮
テン糞⑮
カマツカ種子・果肉・果皮
テン糞⑯
カマツカ種子、直翅目脚、翅、産卵管・外骨格
テン糞⑰
ヒサカキ種子・果肉・果皮、カマツカ種子
テン糞⑱
直翅目・脚・翅・産卵管多数
テン糞⑲
カマツカ種子・果肉果皮、直翅目脚・産卵管
テン糞⑳
ヒサカキ種子・果肉・果皮
山形県のテンの糞の内容物を知りたくなった。
しかし、約半世紀前は51頭ものテンを殺してその胃内容物を調べるという研究法がまかり通ったのだ。
胃内容物を調べた後のテンの死体をどうしたのだろうか?毛皮は取ったことだろう。
でも、骨はどうしただろうか?何だかもったいない!
ぼくが学生時代の事だ。