昨日、専門学校で野生動物保護専攻の学生のIida君からサルの頭骨をもらった。
長野県の大町で見つけたもののようだ。
Fig.1の正面からの写真を見ても犬歯が長くオスだとわかる。
Fig.1 正面から
Fig.2の上面からのものでは、前頭骨から頭頂骨にかけての頭頂部の矢状隆起がわかる。
まだ、左右の隆起が前頭骨の部分で合わさって一つの隆起になっていないので、
成熟した大人オスの一つ手前の若い個体のようだ。
まだ、若いオスなのは前頭骨と頭頂骨や上顎骨、鼻骨などが縫合線がわかり、それぞれの骨が癒合合体していないことでも明らかだ。
Fig.2 上面から
Fig.3の底面からの写真を見ると、歯は全て(切歯・犬歯・前臼歯・臼歯=2・1・2・3)萌出しているが、
まったくと言って良いほど歯は摩耗していない。
歯の萌出と、摩耗状態、Fig.4やFig.5からの犬歯の長さ、さらには骨の縫合状態から判断して、
このオスは9歳前後であると推定したがどうだろうか?
このオスは9歳前後であると推定したがどうだろうか?
Fig.3 底面から
Fig.4 右側面から
Fig.5 左側面から
Fig.6 後面から
このオス、オスとしての最盛期の一歩手前で死んだようだが、死んだ原因は何だったのだろうか?
青年期から壮年期に移り変わる頃なので、生まれた群れから離脱して、山野を駆け巡り、メスがいるいくつかの群れに辿り着いたが、どの群れにも入れずにソリタリー(ハナレザル)として
暮らしていた個体で、雪崩に巻き込まれたとかの何らかの事故に遭ったのだろう。
Fig.3やFig.4から分かるように右の頬骨弓が欠損している。この欠損が死後のものかどうか綺麗に洗ってみなければ分からないが、これが事故に遭った時に怪我したものだと、即死するわけはないが、
致命傷となったことは間違いない。
群れに加わったこの年齢のサルなら、死ぬ原因が考えられない。
さぁー、今日はこれから昨日の試験の採点だ。
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