2012年3月1日木曜日

可愛い葉痕  Droll cicatrix

先日、御殿森ノ頭周辺を歩き回った時、
やまぼうしさんたちが、「かわいい!」、「かわいい!」と叫んでいる。
「何が可愛んだ!」と聞くと、秋に落ちた葉がついていた葉痕の部分が
さまざまな顔に見えるというのだ。
ぼくはその可愛らしさ、がはっきり呑み込めなかった。
葉痕と冬芽との組み合わせで、「葉痕を顔、冬芽を帽子」と見立てるようだ。

下はオニグルミの冬芽と葉痕
ヒツジに顔に見えたり、サルに見えたりするようだ。
と云う訳でで、我が家の庭の木の葉痕を探してみた。
アジサイだ。おでこにあたる部分に冬芽がある。
木々によって葉痕や冬芽の形が違うので楽しいようだ。

ぼくは子供の頃、自然が造るさまざまな物が恐ろしい人の顔に見えたことがあった。
部屋で寝ていると天井板の模様が般若のように見えて怖かったり、
湿地で釣りをしていると谷地眼が大きな人の目に見えたり、あるいは浮かんでいる雲が顔に見えて襲ってくるように見えたり、さわさわと湿原を流れてくる風が巨人の息のように感じたりしたものだった。そんな目に見つめられ、風が頬や首筋にあたると身の毛がよだった。
大人になって、屋久島のサル調査で、斜面を登って下を見下ろすと青い海の中に青黒く見える部分が巨大な目に見えて怖かった。
天井の節穴の目や谷地眼や、雲が目に見えると、自分がいつも見られていてその目から逃れられない恐怖がつのってくる。
このところ、車を運転していた対向車のヘッドランプが目に見えてイヤだ。

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