今夏の千葉実習で、富津市の養豚業を行っている石原さんから頂いたイノシシの頭骨を大きめのプランターに水を入れて浸したままであった。
ようやく、頭骨を取りだし洗って干した。
オスイノシシの頭骨で、巨大な犬歯をしている。
同じ大きさくらいの丹沢で見つけた、メスの犬歯とは比べものにならないほど大きい。
左:オス、右:メス
オスの第一小臼歯は?
上顎を口蓋の方から見たものである。
オスの第三切歯は?
頭骨の長さが同じくらいであるが、オスの犬歯は太さ、長さもメスよりも大きい。
さらに左右の頬骨弓間の幅がオスの方がメスよりも広い。
上から見ると、オスはメスに比べて
犬歯が出る部分の上顎骨が横に大きく張り出している。
さらに、オスの左右の後眼窩突起間はメスに比べると幅広くなっている。
このくらい両性の間で、性差(性的二型)が大きいことは、
イノシシではメスを巡って、オス間の争いが激しいことが分かる。
イノシシの歯式は:切歯・犬歯・小臼歯・大臼歯の順に
上顎:3・1・4・3
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下顎:3・1・4・3
であるが、この千葉のオスイノシシの下顎では、左右の第一小臼歯が完全に欠落している。
さらも。上顎の第三切歯も完全に欠落して、萌出した痕さえもない。
現存のイノシシ科の属にはSusイノシシ属、Potamochoerusカワイノシシ属、Phacochoeruイボイノシシ属、Hylochoerusモリイノシシ属、Babirussaバビルサ属の5属存在し、イノシシ属だけが哺乳類の完全な基本歯式をもつが、
下顎の小臼歯が3対なのは、モリイノシシ属とバビルサ属である。モリイノシシ属は上顎の小臼歯も3対だ。この千葉のオスイノシシは下顎の歯式では、バビルルサということになる。
さらに、上顎の切歯が2対なのは、バビルサだけだ。
これらの上下の歯式からだけ判断するとこのオスイノシシはバビルサということになる。
このイノシシはイノシシそのものではなくて、猪豚なのかもしれない。
イノシシの歯についてさらに付け加えると、
いずれ上下の第三切歯が消失するのだろう。根が非常に浅い。
さらに、第一、第二小臼歯も消失するのだろう。小さく、あまり用をなしていない。
イノシシの切歯はまるでシャベルのような造りですね。
返信削除これで深い穴をあちこちに開けるし、倒木をバリバリ砕いて、昆虫などを食べる。
ただ笹の根を切るのはどの歯なんだろう?
これだけの臼歯があるのだから硬い植物をたくさん食べてますね。
take隊員へ
返信削除イノシシの下顎の切歯はユンボのシャベルの先についている物と同じ役目をはたしているのでしょう。
この切歯だも、畑はお茶の子さいさい、固い地面だって掘り起こしますね。
笹の根とかの地下茎を切るのは、上下の犬歯を擦り合わせて切ると思います。
上下の犬歯の噛み合わせというか擦り合わせを近いうちにアップします。
この臼歯だと日本で産する果実で食べることができないものはないのでは?とさえ思ってしまいます。
アフリカで、湖畔の我が家のトイレの横にあったアブラヤシの固い実をグルエ(イノシシ)がバリバリ食べていました。
キイロヒヒも食べることができないものです。
西アフリカでは、チンパンジーが石で叩いて割って食べる。
ブタの頭骨を見ました。
返信削除イノシシに比べて明らかに口吻部分が短くなってますが、上顎、下顎とも、3・1・4・3でした。
だから、猪豚になったとしてもこの歯式は変わらない筈です。
では、何故このオスイノシシの歯式が、上顎=2・1・4・3で、下顎=3・1・3・3とスラベシ島のバビルサと同じ歯式になっているのか?
もう少し、このオスイノシシの頭骨を調べたい。