2008年11月10日月曜日

サルとヒトの頭骨

昨日、友人から頂いた解剖学(骨学)の本を見ていて、え?本当?何故?となり、手持ちの解剖図書や本など他の3冊を調べた。
やはり、載ってない。で、ネットで検索した無いのだ。

サルや他の哺乳類の頭蓋骨にはあるべき骨がヒトにはないのか、胎児の時に消滅しているのかもしれない。
下は、屋久島で拾った、ヤクニホンザルMacaca fuscata yakuiの頭蓋である。まー、ニホンザルやカニクイと同じと思って良い。
①:前顎骨、②上顎骨、③頬骨、④前頭骨、⑤鼻骨と⑥はサルの仲間特有の眼窩である。
①~⑤の骨は他の哺乳類の頭骨にも当然ある。
しかし、ヒトの解剖学の本では、①前顎骨という記載が見当たらないのである。
ぼくは、学生に①前顎骨から出てくる歯を切歯といい、②上顎骨から出る歯で生え変わる歯を前臼歯、生え変わらない歯を臼歯、さらに①前顎骨と②上顎骨との境目に出てくる歯を犬歯と教えている。それは、いろんな哺乳類の頭骨を見ていれば誰もが気がつく。

ヒトでは前歯はあるが、胎児の時に上顎骨と縫合・合体したものと思われる。
ヒトでは、前顎骨、鼻骨、前頭骨、後頭骨が左右合体してしまっている。ニホンザルでは、鼻骨と前頭骨と後頭骨が左右合体し、他の哺乳類では、後頭骨が合体しているくらいである。

多くの哺乳類で左右の頭骨が縫合合体しているのは老齢化した個体だけである。
何故、他の哺乳類でもサルが左右の前頭骨や鼻骨が合体し、、サルよりもヒトの前顎骨が縫合合体しているのであろうか?
これが今、わからないことである。

2 件のコメント:

  1. 骨学はじっくりやれば面白そうですね。

    ネットにも骨を集めている人、あちこちで散見されます。

    でも基礎がまったく分かってないから隊長の解説もこちらはよく分からない。
    せめて学生が習うことぐらいは知識をつけたいと思っているのですが・・・。

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  2. take隊員へ:
    ぼくは、膝痛が酷くなったら、山を歩けないので、それまでできる限り骨を集め、動けなくなったら骨を眺めて暮らそうと思っているんですよ。
    今は、もう本を読むよりもテレビを見るよりも骨を手にとっている時間が長くなり、日本産哺乳類を主とした「骨学入門」「骨学事始め」のような本でも書こうかなと思っております。もちろん、ヒトとの比較もしていきたいです。
    友人に医学部の解剖学の先生がいるので、ヒトのことについては教えてもらっております。
    骨格は、生態や行動と結びついて動物の身体を形作っている訳ですが、対象動物の視覚、聴覚、触覚、味覚などの感覚全てや生態が頭骨に現れております。

    化石人類学を専攻している研究者たちは歯を一本見つけただけでそのHomo属の食性を推定することができますね。こちらは、全て揃った(もっとも轢死体もかなりあって不完全だが)頭骨を手にしており、しかもその動物の生態・行動を知っているので、頭骨を比較することの面白さがあるのです。

    ホームページに載せるより、ブログの方が簡単なので、初心者でも頭骨に興味ある人ならわかるような解説をしたつもりなんですが、
    、、、、。
    いずれにしてもどんな動物も歳をとると頭が固くなることは解かりますね。つまり、幼児期には、頭骨を組み立てている全ての骨は柔らかくバラバラですが、歳をとるとともにがっちり縫合合体してしまいます。

    ヒトもサルも1歳児でもすでに左右の前頭骨が一つに合体しているんです。他の多くの哺乳類はかなり歳を経るまでバラバラなんです。

    ヒトはサルがネオテニー(幼体成熟)で進化したものだと解釈されているんです。しかし、ヒトの頭骨は左右が合体した形ではないですか。これは、他の哺乳類と比べて頭骨は老齢化しているんではないですか?
    と、ヒトの解剖学が不勉強なので疑問に思ったのです。

    ごめん、長くなった。

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