2025年9月12日金曜日

下顎頭の形状と顎関節の構造                     The shapes of articular condyle and their structures of temporo-mandibule joint

 食肉目のように下顎頭が左右にながい動物たちを手持ちの標本の中から探してみた。霊長目や鯨偶蹄目の反芻亜目や猪豚亜目の動物たちの下顎頭が左右に長かった。他にもイノシシもそうだった。しかし、食肉目の下顎頭の形状と大きな違いがある。食肉目ネコ科ネコ属のネコの下顎頭は丸い棒状に左右に長い(図1)。霊長目や反芻亜目のシカやカモシカの下顎頭は前後左右に幅があり、左右の方が長い(図2&3)。

図1.ネコFelis catusの下顎頭
図2.ニホンザルの下顎頭
図3.カモシカの下顎頭
食肉目の場合は側頭骨の顎関節は、下顎頭を包み込むようになっている(図4)が、霊長目や反芻目の顎関節は後関節突起があるだけで、左右や前方への移動は遮らない(図5&6)。つまり、食肉目の顎は前後、上下に固定されてその筒の中で動くだけだ。しかし、サルや反芻目の顎は前と下方、左右に移動できる。
図4.テンの顎関節(〇)と前(→)・後(↓)突起
図5.ニホンザルの顎関節(〇)と関節後突起
図6.キョンの顎関節(〇)と関節後突起(←)

先週6日から腰部脊柱管狭窄症が悪さをしていたが、次第に改善され、昨日は跳び上がりたいほど快調だった。しかし、今朝から身体が右側に傾き真っ直ぐ立てない。右腰背が痛いのだ。我が第三腰椎と第四腰椎の右側が横突起のようなもので癒合しているので、その為に右に傾くと分かった。手術でこの突起物を除去してもらいたいが、そうすれば真っ直ぐ立てると思うのだ。でも、リハビリストレッチのお陰で、洗面は問題なくできた。

2025年9月11日木曜日

秋だ!タイワンホトトギスが咲いている                      It's autumn! Tricyrtis formosana flowers are in bloom

昨日、横浜西口の地下街で「天昭山サルの会」の5人であった。ぼくが最も年寄りだ。もっとも皆75歳以上だ。話題は連絡が取れないO氏の事、皆持っている彼の連絡先の電話番号は同じ、で、電話したら留守電になったので連絡請うと連絡した。が、やはり今でも連絡が無い。
老化すると昔の知人と連絡し合うのを嫌う人たちがいる。大学のクラス会の世話人をやった時に、メールは通じている筈なのにレスがなかったり、電話が通じたらもう昔の友人たちには会いたくないと云ったり、どうも自分の殻に閉じこもって鬱気味になる人たちがいる。気持ちが判らない訳ではない。が、歳をとったら歩ける限り知人友人と会うべきだ。
ぼくは、今は週一に整形外科のリハビリに通う。その日は鏡を見てヒゲを剃ったり、鼻毛を切ったり少し顔の手入れをし、小綺麗にする。面倒だと思うが他人と会うのだから仕方がない。
図1.タイワンホトトギスが咲いている
台湾から一時帰国のNから台湾茶「山嵐風情」を貰った。ぼくは烏龍茶が好きで買っているが、これは緑茶だ。今飲んでいるが、日本の緑茶との違いが判らない。飲んでいる茶碗はキンシコウ調査で西安から南下した地方都市の屋台で買ったものだ。キンシコウの調査地の山村ではお茶ではなく白湯を出された事があるが、高貴なお茶を飲んでいる感じがした。

2025年9月9日火曜日

ウサギやネズミの下顎頭は前後に長いが、クマやネコの下顎頭は左右に長い The articular condyles of rabbit and rat are long from front to back, but those of bear and cat are long from side to side.

 ウサギやネズミの下顎と顎関節との関係を見ていて、食肉目の下顎頭と顎関節は常時接していることが判った。アナグマでは顎関節から下顎を外せないくらいだ。それは、アナグマの顎関節は下顎頭を前後に抑える突起があり、さらに下からも後ろの突起が巻き込んでいる。ウサギ(図1)やネズミ(図2&3)の仲間の下顎頭は前後に長い。が、食肉目の下顎頭は左右に長いのだ(図4&5)。

ウサギ形目Ragomorpha 下顎頭は前後に長い

図1.ノウサギLepus brachurusの下顎頭(赤線で囲う)

齧歯目Rodentia 下顎頭は前後に長い
図2.アカネズミのApodemus speciosus下顎頭(赤線で囲う)
図3.ヌートリアMyocastor coypusの下顎頭(赤線で囲う)

食肉目Carnivora 下顎頭は左右に長い
図4.ツキノワグマUrsus thibetanusの下顎頭(赤線で囲う)
図5.イエネコFelis catusの下顎頭(赤線で囲う)

ウサギやネズミの下顎頭は前後に長いのは、廊下のような顎関節を前後に行き来するからで、ウサギやネズミたちは犬歯が無く切歯で切り取り、頬歯で咀嚼することが判る。一方、食肉目の動物たちの下顎頭が左右に長いのは、口を開けて犬歯で獲物を殺す(捕まえる)時や肉を引き裂く時に顎関節を支点にして犬歯に力を入れることができる。

2025年9月8日月曜日

ネズミの下顎頭と顎関節が接するのは口を開けた時だ!                Rat's mandible condyle contact with temporo-madible joint is when it's mouse open !

 ウサギとネズミの顎関節は似ているようで、大きく異なっている。ネズミは下顎を前後に大きく動かすことができるからだ。

図1.スミスネズミEothenomys smithiiの上下の頬歯が咬み合っている状態
図2.スミスネズミの下顎頭(関節突起)(
図3.スミスネズミの側頭骨の顎関節(
スミスネズミの下顎と上顎の頬歯をしっかり嚙合わせると、下顎頭と側頭骨の顎関節が接触しないのだ。つまり隙間があるのだ(図4)。
図4.スミスネズミの顎関節と下顎頭

なんとこの下顎頭と顎関節の隙間はヌートリアにも見られる(図5)。
図5.ヌートリアMyocastor coypusの上下の頬歯は咬み合っているが、顎関節と下顎頭はかなり離れている。
この上下の頬歯(前臼歯+臼歯)の咬み合いと顎関節と下顎頭との関係はスミスネズミやヌートリア以外の齧歯類でも同じかもしれない。では、どのような時に下顎頭が顎関節に接するかと云うと、下顎が前に出た時と、下顎が下方に、つまり口を開いた時に下顎頭は側頭骨の顎関節に接するのだ。だから、口を開けて切歯で、物を咬み切るときに顎関節が支点となっている。切歯で咬み切った物を頬歯で咀嚼する時には下顎頭と顎関節はあまり接し無いのかもしれない。

2025年9月6日土曜日

ウサギの顎関節は下顎が前に移動できない構造だ                     Rabbit's temporal mandibular structure is that mandible can't move ahead

ウサギの上下の頬歯同士が咬み合っている時は、下顎骨の下顎頭(関節突起)と側頭骨の顎関節とが接している状態が図1である。今までにぼくはこの状態は側頭骨の顎関節(図2)に下顎骨の下顎頭(図3)が下から接している状態だと思っていた(図4)。それで、咀嚼している時に下顎骨の下顎頭が側頭骨と頬骨弓に囲まれた細い廊下の顎関節を前後に移動していると考えていた。
図1.ノウサギの左側面からの下顎と上顎が咬み合った状態の頭骨
図2.ノウサギの頭骨底面からみた顎関節(←)
図3.ノウサギの下顎骨の下顎頭(関節突起)(↓)
図4.ノウサギの顎関節(図1を拡大)
しかし、上顎の顎関節をよく見ると、後ろが凹んでいる(図5)。そこに下顎頭の先が接するのだ。つまり後ろには移動できるが前には移動できないのだ。
図5.側頭骨の顎関節の斜め後ろから見た凹み
顎関節の構造がこのようになっているのはアナウサギも同じである。


2025年9月4日木曜日

ノウサギはアナウサギより多くの草を口内容れて咀嚼できる。           Hares can chew more grass in their mouths than rabbits

日本に生息するウサギ科Lepoidaeのノウサギとアナ(カイ)ウサギは頭骨の鼻骨の幅で違いが判る。ノウサギの鼻骨は幅広く、アナウサギの鼻骨は幅が狭い(図1)。まー、これはもうこのブログの読者の方々は御存知の事と思います。で、当然のごとく後鼻孔の幅も違う(図2)。
図1.ノウサギLepus brachyurus左とアナウサギOryctolagus cuniculus右の鼻骨幅
図2.ノウサギ左とアナウサギ右の臼歯間幅(←→)
で、今朝これらのウサギの頭骨を眺めて思った事がある。それは、鼻骨の幅に応じて臼歯間の幅も違うことだ。もちろん下顎の臼歯間の幅も上顎の幅に応じている。このことは、ノウサギはアナウサギに比べて一度に多くの草食物を口内入れて咀嚼していることになる。つまり、ノウサギはアナウサギに比べて急いで沢山口に入れててその場を離れることに適しているとも云える。

2025年9月3日水曜日

頭骨や歯を見るとイヌ科の中ではイヌが一番肉食に適応している。                 Judging from skulls and teeth, dog is most adaptability for fresh-eatin in Canidae

キツネとタヌキはイヌ科の動物だが、彼らの歯を比較するとキツネはタヌキよりより肉食に特化している事が判る。それは、犬歯は長く鋭いし、裂肉歯も大きく鋭い(図1&2)。この犬歯ならカモ位の大きさの鳥なら襲って仕留められるだろう。あるいはノウサギも可能だろう。
しかし、タヌキの犬歯は短いし鋭くないし、裂肉歯も小さい。せいぜい死体の肉を引き裂くくらいだろう。
クロを見ると(図3)、犬歯はガッチリし鋭い、裂肉歯も大きく鋭い。頭骨もイヌ科3種の中では際立って頑丈だ。矢状隆起があり後眼窩突起付近が盛り上がっている。側頭筋が矢状隆起の支えとなり、後眼窩突起の盛り上がりは骨を齧ったりする咀嚼筋の支えにもなっている可能性がある。
図1.キツネVulpes vulpesの歯
図2.タヌキNyctereutes procyonoidesの歯
図3.クロCanis familiaris
こう見てくるとイヌ科3属の中では、イヌが最も肉食に適している頭骨や歯を持っていることが判る。が、タヌキは肉と云っても精々死肉か、昆虫を含む節足動物だろう。