2025年12月20日土曜日

3個のアナグマの環椎の比較                    The comparison among three badgers atlases

アナグマの肩甲骨では、煤ケ谷産♂のものが大きくてしかも前縁と後縁が平行の台形状であった。これがアナグマの♂と♀の性差によるものかどうかは不確かだが、環椎(第一椎骨)の形状においても串間市産と日高市産と比べると煤ケ谷産のものが異なっている(図1)。
煤ケ谷産の環椎は左右の翼切痕部分が凹んでいる。

図1.アナグマMeles melesの3個の環椎の比較
上:串間市産、中:日高市産 下:煤ケ谷産♂
:翼切痕
この翼切痕が凹んでいるのは、タヌキ、アライグマ、ネコにも見られるが、ハクビシンには見られない(これらの例は別にアップ)。興味深い事にイタチ、テンにもこの翼切痕の深い切り込みが見られない(図2)。煤ケ谷産のアナグマは左右の下顎骨が癒合して上顎骨から外すことができない個体だが、臼歯はそれほど磨り減ってはいないので、この個体の特徴かも知れない。

図2.テンMartes melampus左とイタチMustera itatsi右の腹側からの環椎の翼切痕
今年になってから頭骨以外の骨の種による違いや同種であっても肩甲骨や環椎に見られたような形状の違いに気が付き始めている。今まではタヌキならタヌキの骨は皆同じ形状だと思っていたので、僅かな違いを見つけると何故?、どうして?、怪我?病気?などと何度も他個体の同じ骨を探して比較してしまう。

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