2025年11月28日金曜日

鼻骨の形状6)イタチ科3種とアライグマの鼻骨              The nasal bones of three species in Muridae and Racoon

 日本に生息する食肉目イヌ型亜目の動物には、さらにイタチ科の数種と移入種のアライグマがいる。これらの鼻骨の形状を見よう。面白い事にイタチ科の動物たちイタチ、テン、アナグマも頭骨の各部分の骨がしっかり癒合してしまっていて鼻骨の長さ・大きさ・形状を明確にできる頭骨が少ない(図1の3頭のイタチ、図2のテン)。が、6個あるアナグマの頭骨の内2個の鼻骨の形状が判ったので、その内の一つを載せる(図2のアナグマ)。

イタチやテンの頭骨の各部分が親離れが出来た頃に癒合してしまうのではないかと考えている。そうする事によって頭骨が頑丈になり、大型の獲物に噛み付いた時もしっかり獲物に噛み付いていられるのではないかと思う。恐らく、イタチやテンもアナグマの鼻骨の形状(図2)とほぼ同じだろう。アナグマは動き回る獲物を仕留めて食べることはできないなろう。せいぜいカエルか土壌動物の節足動物だろう。

これらイタチ科の動物でテンの糞にはムカデやゲジゲジの外骨格がそのまま含まれている事が多いので嗅覚によって獲物を見つけていると考えられる。つまり、嗅覚がすぐれていると想像できる。また、キイチゴの仲間やクワの実の糞が春の丹沢のテン糞に含まれていることも、キイチゴやクワの実が熟した匂いを嗅げ分けていると思われる。

図1.3頭のイタチMustela itatsiの上から見た頭骨と鼻骨
図2.テンMartes melampusとアナグマMeles melesの上から見た頭骨と鼻骨
アライグマはイヌ型亜目クマ下目イタチ上科アライグマ科に分類されていて、イタチの仲間に近い動物だ。が、鼻骨の形状はイタチ科のアナグマの鼻骨が前顎骨にV字状に接するが、ツキノワグマ(前回アップ)のように鼻骨はU字状に接する。
アライグマは見た目はタヌキに似た顔をしているが、アライグマの頭骨の頑丈さはタヌキと比較できないほどだ。それは同じイタチ上科のイタチ科の動物の頭骨の頑丈さと似ている。
図3.アライグマProcyon lotorの上から見た頭骨と鼻骨
イヌ科のイヌ、キツネ、タヌキの中では、イヌの頭骨がもっともガッチリ骨太であるが、キツネとタヌキの頭骨はイヌと比べると華奢だ。これもイヌの祖先のオオカミがシカなどの大きな動物を襲い、噛み付いて獲物に致命傷を与えるために進化した頭骨の構造なのだろう。イタチ科ではイタチやテンの頭骨がアナグマに比べてガッチリしているのも同じことだと云える。

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