2025年6月5日木曜日

クマの頭骨は左右の頭頂骨が癒合した後で、左右の前頭骨が癒合 Concerning bear skull, the right and left parietal bones fused, and then the right and left parietal bones fuse.

図1は、友人YNから譲り受けた秩父産のツキノワグマの頭骨上面である。まだワカモノの個体のようだ。鼻骨、上顎骨、前頭骨f、頭頂骨pの縫合線が判る。左右の前頭骨fや頭頂骨pの縫合線や前頭骨と頭頂骨の縫合線(冠状縫合)はハッキリしている。
図1.若いツキノワグマUrsus thibetanusの頭骨上面から
f:前頭骨 p:頭頂骨
これが、オトナになると、図2はADWのヒグマである。左右の頭頂骨が癒合ししかも矢状隆起となり、前頭骨もしっかり癒合し縫合線が不明だ。さらに、前頭骨と頭頂骨の縫合線(冠状縫合)が後眼窩突起か隆起して矢状隆起に繋がっている。
図2.ヒグマUrsus arctos from ADW: dorsal.jpg

一方、ツキノワグマでは前頭骨や頭頂骨の正中線上は盛り上がっているが、矢状隆起のような隆起ではなく幅広く台地状に盛り上がっている。このヒグマとツキノワグマの左右の頭頂骨の縫合線上の盛り上がりは、ヒグマがイワハイラックスとツキノワグマがキノボリハイラックスと類似している。 

図3.ツキノワグマUrusus thibetanus  fromDKY_0688S.jpg (3060×2036)

図4は昨年9月に標茶町博物館「ニタイ・ト(アイヌ語で森と湖の意味」で撮ったヒグマの頭骨である。このヒグマは左右の前頭骨がまだ癒合していない。が、左右の頭頂骨は矢状隆起となっている。
これらの4体のクマ属Ursusの頭骨から、クマでは左右の頭頂骨が癒合し、その後から左右の前頭骨が癒合すると云える。
図4.ヒグマUrsus arctos 標茶町博物館「ニタイ・ト」で

クマで明らかになった左右の頭頂骨の方が左右の前頭骨より先に癒合するのは、食肉目において同じ傾向がありそうだ。シカやカモシカではほぼ一生左右の前頭骨は癒合しないままだが、食肉目では前頭骨は後から癒合することが分った。

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