水沢橋の堰堤下で見つけた丹沢老♂の頭骨(図1)を見ていて、老猿の為、全ての歯が摩耗しているだけと思っていた。しかし、どうもおかしい左右の下顎骨の長さが違うのだ(図2)。
図1.丹沢老♂の頭骨正面から
顔が歪んで見える、これは切歯や犬歯などが摩耗している訳でなく、左右の下顎頭を左右の長さが違うために歪んでいる。
それは、右の下顎骨の筋突起(〇)と関節突起(下顎頭〇)の間が左の下顎骨に比べて短いのだ(図2)。
図2.丹沢老♂下顎骨上から
図3.右側面からの丹沢老♂の頭骨
右の下顎頭を上顎の関節後突起まで接すると歯が噛み合わない。
上顎骨の右側の関節後突起(→)の前の関節窩を見ると、僅かだが凹み(←)が見られる。この老♂の右の下顎頭はここに納まっていたのだ。
図4.底面からの老♂の頭骨
→:関節後突起 〇:関節窩 ←:関節窩の中の少し凹み
図5.左の下顎頭を関節窩の中の凹(→)に合わせる
すると、どうだろう。下顎の臼歯と上顎の臼歯が噛み合っている(図6)。図3の上下の臼歯の咬み合わせと比べてみて!図6.下顎頭は上顎の関節後突起に接していないが、歯は噛み合う。
この老猿は、左右の下顎の長さに戸惑っていただろう。しかし、上下の嚙み合わせしっかりさせていく内に、右の関節窩に下顎突起(下顎頭)を固定させる窪みが出来ていったのだ。でも、何度かは外れたことだろう。
ぼくは義歯をしているが、義歯の咬み合わせに応じて下顎の動きも変わってくる。生きている証拠だ!っと受け止めている。
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