2024年6月12日水曜日

イノシシの腓骨と脛骨        Tibiae and fibulae of wild boar's infant

偶蹄類のシカやカモシカの腓骨はほとんど消失し僅かに腓骨外果だけが脛骨の遠端位の内果の反対側に接触・付着しているだけだった。日本の偶蹄類は反芻亜目のシカやカモシカの他にイノシシが生息する。猪豚亜目のイノシシの腓骨は脛骨からちゃんと分離しており(図1)、反芻亜目のシカ、カモシカと違っている。
図1.ウリボウの左右の脛骨と腓骨
左側が右の脛骨と腓骨
ウリボウなので腓骨や脛骨の骨端軟骨は骨にすると分離し、脛骨の近端位の骨端軟骨は見つけ拾い出すことができたが、遠端軟骨は見つけ出せず。腓骨の左右の近遠端位の軟骨も見つけられなかった。
このウリボウは、東丹沢のハタチガ沢林道で滑落死していた個体(図2)を砂利や石で覆って腐らせてから骨を採集したものだ(図3&4)。土の中に埋めなかったのに全ての骨を見つけ出すことができなかった。
図2.20100904 滑落死のウリボウ ハタチガ沢林道で

図3.20100912 ウリボウの頭骨回収 ハタチガ沢林道で

図4.20101024 ウリボウの骨回収 ハタチガ沢林道で

このウリボウの頭骨を先に回収し(図3)、水洗いして少し乾いた頭骨(図5)で、まだ、犬歯や切歯を入れていない。室内の棚に置いている現在のウリボウの頭骨(図6)。骨は1ヶ月ちょっと土砂の中だったので、水洗いしても土砂の色が取れない(図1)。
図5.ウリボウ頭骨 20100915 回収し水洗いした頭骨
図6.ウリボウ頭骨 20240610の頭骨 

ウリボウは脛骨や腓骨の近位端や遠位端の軟骨がまだ骨化して本体(骨幹)と癒合していないので、骨にするために埋めた時に土の同じ色になって紛失してしまう場合が多い。サルでは生後4,5年経ってもまだ骨端軟骨部分が本体と離れてしまう。しかし、他の動物では生後2,3年後は骨端軟骨はしっかり本体と癒合する。

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