2024年4月17日水曜日

さまざまな前頭骨       Different shapes of frontal

前回は、頭骨を側面からみての前顎骨の様々な形を見た。獲物の取り方、切歯の出方によって前顎骨は大きく変わった。
頭骨を上から見ると、前頭骨は頭頂骨の前にあり、鼻骨や上顎骨の後ろに位置する頭蓋骨にあたる。前頭骨で、日本に生息する動物の7目の前頭骨を大雑把に見比べてみよう。真無盲腸目のジネズミやヒミズの前頭骨は頭頂骨から口吻にかけて僅かに狭まっている(図1)。それが齧歯目になるとアフリカオニネズミでは前頭骨は前方に向かって眼窩の辺りで少し狭まるが頭頂骨からの側頭稜が浮き出る、齧歯目の中でリス科だけは鋭い後眼窩突起が突き出る(図2)。
図1.真無盲腸目左:ジネズミ 右:ヒミズ
図2.齧歯目 左:アフリカオニネズミ 右:アメリカモモンガ
食肉目のどの科の動物も後眼窩突起が出て、眼窩側頭稜が盛り上がり、ネコでは頬骨前頭骨突起と接して眼窩輪が形成されそうである(図3)。それが、霊長目では眼窩輪が形成され、眼窩側頭稜が盛り上がり、ニホンザルを含む狭鼻猿では眼窩上縁部も盛り上がり眼窩上隆起となる(図4)。
図3.食肉目 左:イヌ 右:ネコ
図4.霊長目 左:スローロリス 右:ニホンザル
ニホンジカ、カモシカでは眼窩輪は形成されさらに左右の前頭骨に角が伸びる(図5)。
このように、前頭骨は眼窩の上部を形成し眼球を保護する。さらに、同種の同性と争う時の角という武器も形成する。そのため前頭骨は頭頂骨と同じように骨が頑丈になっている。大相撲の立ち合いで頭でガチっと当たるのが前頭骨部分であるのが納得できる。
図5.鯨偶蹄目 左:ニホンジカ 右:カモシカ
顔面骨の鼻骨、前顎骨、上顎骨は動物によって多様である。前頭骨は頭蓋骨であるが、頭蓋骨の中ではもっとも形の変化に富んだ骨である。それは、顔面骨は食物の採り(獲り)方と咀嚼に仕方によって変わる。前頭骨は食物を嗅覚ではなく視覚で獲る動物の眼球を保護し、♀を巡る同種の♂同士との争いの武器としての角が生える骨であり、進化によって変わり易い骨でもあるようだ。

イスラエスのガザ攻撃が、イラン・イスラエル戦争になりそうだ。その陰でウクライナの状況が知らされていない。マスコミは2年も続くロシアのウクライナ侵略戦争に飽きてしまい、ニュースにならないと思っているのかな?

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