多くの哺乳類の下顎の切歯は上に伸びているのではなく前方(外側)に伸びている。その代表例としてイノシシ(図1&2)を見てもらう。ぼくらヒトのイメージでは上の切歯は下向きになり、下の切歯は上向きに生えると思っているが、大多数の動物たちの下顎骨の切歯は外(前)方になっている。
図1.イノシシ♀左側面からの頭骨
図2.イノシシ♀の下顎の切歯
アカネズミを側面からみてもやはり、下顎の切歯は上方に向くと云うよりは前に突き出している(図3)。上の切歯が下向きになるのは納得できるが、何故下の切歯が外向きになっているのだろうか?これは下顎の形状と構造上仕方がないことだ。下顎骨の先端から伸びるとしたら前方へ突き出すことになる事は図1や図3からも判る。つまり、上に伸びるとしたら、支える歯の根元に薄い骨しかない事になる。下の切歯を支えるには切歯の根は下顎の奥に入り込むよりない。あるいは、切歯が出る骨も厚く頑丈にしなければならない。図3.アカネズミの左側面からの頭骨
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