食肉目(ネコ、ハクビシン、マングース、タヌキ、アナグマ、アライグマ、ツキノワグマ)の頭骨を見ていてネコ科Felidaeの動物の頭骨は①口吻が短く、②頬歯の数が4本しかなく③しかも第二前臼歯と第一臼歯が米粒状であり、第四前臼歯の裂肉歯が強大であることだ。
図1はカイネコの頭骨を底面から見た歯であり、図2は中国山西省のヤマネコの歯である。両者とも第二前臼歯と第一臼歯は米粒状で非常に小さく、恐らく用を成していないと思われる。
図1.カイネコFelis catusの米粒状の第二前臼歯(←)と第一臼歯(→)
左第二前臼歯が萌出せず
図2.山西省のヤマネコ(豹猫)Felis bengalensisの第二前臼歯(←)と第一臼歯(→)
右の第一臼歯は欠落
カイネコもヤマネコもネコ属Felisなので、他のネコ科のヒョウ属Pantheraのヒョウとライオンの頭骨を見た。ネコ属と殆ど同じように第二前臼歯と第一臼歯が小さい(図3&4)。チーター属Achinonyxでは第二前臼歯が出ないようだ(図5)。ネコ科の他の属の頭骨と歯もAnimal Diversity Webで見たが、ネコ属やヒョウ属、チーター属と変わらない。図3.ヒョウPantera pardus の第二前臼歯(→)と第一臼歯(←)
左右の第二前臼歯と第一臼歯が欠落
図4.ライオンPanthera leoの歯 from ADW
第二前臼歯と第一臼歯が米粒状で小さい
図5.チーターAcinonyx jubatusの歯 from ADW
左右の第二前臼歯が出た跡が無い。第一臼歯は米粒状だ
この個体は頬歯は3本だ!
巨大な犬歯と裂肉歯(第四前臼歯)を持っているネコ科は食肉目の中でも他の食肉目の動物に比べて自分より大きな動物を襲い掛かって食物とするのに特化した動物と云える。
歯が萌出しなくなるのは、切歯では外側から第三、第二と無くなり、前臼歯では前から第一、第二と無くなる。臼歯では奥の第三、第二、第一と無くなる。ぼくらヒトの歯式は、2・1・2・3だが、第三切歯が欠如し、第一、二前臼歯が欠け、第三臼歯の親知らずが無くなる運命にある。
図1から5を見ても判るように、臼歯が米粒状で非常に小さい、ヒトでは頬歯を小臼歯と大臼歯と名付けられているが、他の哺乳類では実情に合わない。ここでは前臼歯premolar(生え変わる歯)と臼歯molar(生え変わらない歯)として説明している。
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