タンザニアに居た時、スワヒリ語と英語で書かれた新聞があった。タンザニアは野生動物で有名な国立公園がいくつもある。それらの国立公園周辺の村々ではいつも野生動物による被害に悩まされている。テンボ(ゾウ)のグループによる農作物の被害ばかりでなく住居の被害も報告されていた。住居を襲われた住民たちがテンボを殺したりすると新聞に保護を訴える記事が載っていた。ぼくが、3年間滞在したタンガニーカ湖中央に東から出べそのように突き出たマハレ山塊国立公園の周辺でも野生動物による農耕地への被害があった。
ぼくが住んでいた家はタンガニーカ湖畔から100メートルも離れていなかったので(図1)、湖に生息するマンバ(クロコダイル)やキボコ(カバ)に注意するよう云われていた。湖畔の人々はマンバやキボコを恐れていた。湖岸で食器を洗っている女の子や衣類を洗濯をしている人たちが襲われたことが話題になったり、あるいは小さな丸木船に乗っている漁師たちがマンバやキボコに襲われて舟をひっくり返され事も知らされた。湖畔で生活する人々にとってはマンバもキボコも人に危害を加える野生動物であり、出来うる限り少なくなってもらいたいと望んでいる。しかし、英字新聞で見る記事には、マンバやキボコやテンボの保護がチンプやゴリラの保護と同じように欧米の動物愛護団体から訴えられていた。ぼくは、野生動物の棲息圏から遠く離れた土地に住んでいる欧米の国々の人間が何言ってるんだ!っと。野生動物の保護を訴えている動物愛護団体に疑問を抱いていた。
日本では、サルやイノシシの農作物や人的被害、シカの農作物被害、林業被害が各地で見られている。さらに最近では、ヒグマやツキノワグマによる被害問題がクローズアップされている。農作物に被害を及ぼし、また、人に危害を与える野生動物が捕獲・射殺されると批判する人々がいる。それはタンザニアでマンバやキボコやテンボの保護を訴える欧米の愛護団体の人々と重なって見える。大都会に住んでいて、地方の山里に住んでクマに怯えている人々の気持ちが判らないのだ。
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