2023年10月31日火曜日

アナグマの頭骨は硬い     Badger skulls are hard

 ぼくはアナグマの頭骨標本を6個もっている(図1)。6個の内、下段の右の2つの頭骨は、鼻骨と上顎骨、前顎骨、前頭骨が縫合しているが、癒合・合体していない。さらに涙骨も上顎骨や前頭骨、頬骨と癒合していない。頬骨弓の頬骨と側頭骨も癒合していない。しかし、上段3つと下段の左の4つの頭骨の各部分の骨は癒合・合体している。下段の右二つは鼻骨と他の骨の縫合状態が判る。

アナグマの頭骨のように、頭骨の全ての隣り合った骨が癒合・合体している頭骨は、手持ちの頭骨では、イタチ2/3の頭骨くらいなものである。他は、老齢化しても頬骨弓の頬骨と側頭骨が接する部分や鼻骨と他の周囲の骨とは縫合線がしっかり判り、癒合合体することはない。シカやカモシカでは左右の前頭骨が癒合・合体するくらいであり、多くは縫合線がしっかり判る。あるいは、同じ食肉目イヌ亜目のイヌ、タヌキ、キツネの頭骨はアナグマのように鼻骨を含む全ての骨が癒合合体しているものはない。

図1.アナグマMeles meles頭骨6個の上面からの比較
上下段の頭骨とも歯の摩耗状態や頭骨の癒合状態から左から年齢が高い個体、上段の頭骨は下段のものよりも年齢が高い。上段左の二つは下顎骨を顎関節から外す事ができない。上段右端は下顎骨が無い。

どうも、アナグマを含むイタチ科の動物たちの頭骨は他の科の動物たちに比べて性成熟を過ぎたら間も無く全ての頭骨の各部分の骨がしっかり癒合合体すると考えられる。それは恐らく、彼らの捕食の方法が、自分よりも大きな獲物動物に対して噛みついて離さないことに関係するのかも知れない。アナグマの場合は、シカなどの死肉から肉を引き千切る行動と結びついているのかも知れない。

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