左足の座骨神経痛で家に居ることが多くなり、今まで集めた骨を眺めている。哺乳動物の骨格は基本的に全て同じと思っているが、こまかな違いが見えてきた。
図1はパラワンセンザンコウManis culionensisの左側面から見た頭蓋骨と下顎骨である。咀嚼筋の咬筋が出る頬骨弓(頬骨側頭骨突起と側頭骨頬骨突起が伸びて癒着した骨)が無い。下顎骨を引き上げる咬筋が出る頬骨弓がないのだ。でも図2を見ると右側には頬骨弓部分に何かついている。頬骨と側頭骨を結ぶ靭帯が付きおそらくここから出る咬筋があるのだろう。しかし、側頭骨から出て下顎骨の筋突起と結ぶ側頭筋は、このセンザンコウには無いように思われる(図1,2,4)。
図1.パラワンセンザンコウManis culionesisの左側面からみた頭蓋骨
下顎骨はまるで小枝のように細い(図2,3,4)。上下の歯は見当たらない(図3,4)。下顎骨の前方に左右に棘状に突き出した部分がある。下顎骨筋突起と下顎頭が一体になっている(図3,4)。後鼻孔からの内側板が長く伸びて聴胞を越えている(図2,4)。図2.底面からみたパラワンセンザンコウの頭蓋骨
右側の頬骨側頭突起と側頭骨頬骨突起を繋ぐ靭帯がある
図3.パラワンセンザンコウの下顎骨
図4.パラワンセンザンコウの底面から見た頭骨と上面からの下顎骨
真無盲腸目のトガリネズミ科ジネズミCrocidura dsinezumiの動物たちも頬骨弓が無いが、下顎骨は小さいが大型哺乳類とは変わらない形状をしている(図5)。これだと下顎を大きく開け閉じることができる。
図5.ジネズミCrosidura dsinezumiの左側面からの頭蓋骨
頬骨弓のように見えるのは靭帯である。側頭窩に下顎骨筋突起が突き出ている。
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