哺乳類の軸椎(第二頸椎)はモグラの仲間もハクビシンもネズミもサルやも同じ形状だった。しかし、シカの軸椎は???っと思えるほど特異である。腹側の棘突起はシカもハクビシンも変わらない。しかし、背側の歯突起の部分と外側関節面が違う。シカの外側関節面は襟巻のようにぐるりと回っている。さらに歯突起は堆孔を囲うように襟を立てるように立ち上がって円筒状になっている。
このシカの軸椎に対応して環椎(第一頸椎)の関節面は広く平で円筒状の歯突起をすっぽり覆って回転しやすくなっている(図2&3)。
図1.左:ニホンジカの軸椎 右:ハクビシンの軸椎
いずれも右斜め前方背側から
図2. ニホンジカの軸椎と環椎 右前方から
図3. ニホンジカの軸椎と環椎 右前方から
左:背側 右:腹側
この環椎の上の滑らかな面の前関節窩に頭骨の大孔の両側にある後頭顆と接す
ニホンザルの軸椎では外側関節面がイカリ肩のようになって重い頭骨を支えるように機能しているとした。シカでは外側関節面がさらに発達して襟巻状になっているのは何故なのだろうか?それは、恐らく発情期にオス同士がメスを求めて互いの角をぶつけ合って押し合いをするそのために、歯状突起が広く脊髄を覆うように円筒状になり外側関節面が襟巻状に発達したと考えられる。メスはオスのような角を持たないが、環椎や軸椎は同じように発達しているだろう。でも、頭骨がついた性別の明確な死骸を見つけて雌雄差の有無を調べたいものだ。
カモシカの軸椎を含む頸椎の標本は持っていない。
返信削除が、カモシカの仲間も発情季にオス同士は角のついた頭をぶつけ合っているので、
シカの軸椎、環椎と同じような形状になっているのだろう。
何だか、再び死骸探しの沢歩きをしたくなってきた。