ネズミなどの齧歯目の多くの腓骨は脛骨の途中から癒合・合体している。しかし、リス科では腓骨と脛骨は分れている。また、鯨偶蹄目のシカやカモシカの反芻亜目では、腓骨は脛骨の両端に痕跡的に残っていた。しかし、同じ偶蹄類でも猪豚亜目のイノシシでは腓骨と脛骨ははっきり分離していた。
今回は、指骨(爪がつく末節骨、中節骨、基節骨)だけを地面につける主に指向性の食肉目の動物たちの脛骨を腓骨を取り上げる。図1はぼくが3月までいた専門学校の教室で撮ったイヌの骨格の座骨、大腿骨、脛骨・腓骨、踵骨や距骨などの7つの骨からなる足根骨、中足骨、3つの骨からなる指骨である。このようにイヌやネコは指骨だけを地面につけて中足骨、足根骨は地面につけない。腓骨と脛骨は分離している。右足(図1の手前)の腓骨は脛骨の外側に位置することが分かるだろうか?
図1.イヌCanis familiarisの後肢
イヌ科のキツネとネコ科のイエネコの左後足の脛骨と腓骨を図2に示す。キツネの腓骨はイエネコのものに比べると細い。この事は、ネコの方がキツネよりも後足首を左右に曲げることが可能である。イヌ科のイヌ、キツネ、タヌキなどの動物たちの腓骨は図1を拡大すると少しは見えてくるが、腓骨は脛骨に中ほどから癒合せんばかりに密着している。図2のキツネの腓骨の下半分は薄ぺらで脛骨に密着していたのを剥がしたものである。図3はタヌキの左の脛骨と腓骨である。腓骨は脛骨に接触し癒着しているが、これはぼくが木工ボンドで貼り合わせたからだ。生体の時もこのようにぴったりと腓骨の下半分は脛骨に癒合はしていないが付着している。つまり、イヌ科の動物は木登りは難しい。が、ネコは後足を動かして木を押さえられるのだ。
図2.左足の脛骨と腓骨 左:キツネVulpes vulpes 右:イエネコFelis catus
図3.タヌキの左の脛骨と腓骨
腓骨はボンドで脛骨と貼り合わせている
次回はイヌ亜目イタチ科のイタチとネコ亜目ジャコウネコ科のハクビシンの脛骨・腓骨を取り上げる。
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