2022年6月9日木曜日

有害鳥獣駆除で射殺された秩父のオスザル Male Japanese macaque in Chichibu who was shot dead in pest control .

 友人のYNから昨年11月に秩父のイノシシやクマ、サルなど頭骨や骨が大きな段ボール箱で送られてきた。サル♂の頭骨以外に他のほとんど全ての骨(上・下肢、鎖骨、肩甲骨、座骨、脊椎骨、肋骨)も箱に入っていた。骨の整理を兼ねて、骨を並べていたら、このオスザルは有害鳥獣駆除で撃たれた箇所がどこなのか判った。頭蓋骨は下顎の左第二切歯が紛失しているだけで、どこにも弾が当たった跡がない(図1&2)。通常、サルが撃たれる場合は正面から撃たれる事が多く、頭骨にも散弾の痕があることが多い。しかし、このオスは正面から撃たれたのではない。

図1.射殺された秩父のオスザル 頭骨左側面から
図2.秩父のオスザル 頭骨正面から
肩甲骨、上腕骨、橈骨、尺骨、骨盤、大腿骨、脛骨、腓骨、脊椎骨を見ていて、右の大腿骨が中ごろが撃ち砕かれ、右の脛骨の足の方も撃たれれ、腓骨も折れていた。さらに、踵骨や距骨などの足根骨も砕かれ、第一指の中足骨を除く他の4本も砕かれていた(図3)。このオスは足を折り曲げて座っている時か走っている時に正面から右を撃たれて、その一発が大腿骨や脛骨・腓骨や足根骨や中足骨などを砕いてしまったのだ。っとすると右の肩甲骨や肋骨はどうかな?っと思って調べた(図4)。
ニホンザルは12対の肋骨があり、上から何本目の肋骨なのかしっかり調べていない。が、内右の1本の肋骨の内側が削られ、外側は折れている。弾は肋骨の内側に当たって、骨を撃ち砕き、脛骨・腓骨に当たって、足根骨と中足骨を砕いたのだ。他の肋骨はまったく損傷していない。これはどういうことなのだろうか? 
ぼくは考え方が間違っていた。一発撃つと、銃弾が一つだけ飛んで行くのではなく。銃弾が複数でる散弾銃が用いられたのだ。少し後ろの右横から撃たれたと考えた方が弾痕の場所や位置が理解しやすい。走って足を上げた右大腿骨に複数弾と脛骨・腓骨に一発、足首の足根骨や中足骨に複数弾が当たってを砕き、散弾の一つは右肋骨をも撃ったのだ。内蔵に何発の散弾が撃ち込まれたのか不明だが、射殺されて間もなければ毛皮や筋肉、内蔵からさらにどこを撃たれたのか特定することは容易である。
この個体は大腿動脈が切れて出血し、内蔵も撃たれているために、その場で倒れて意識が薄れ1分もしないで死をむかえたであろう。可哀そうに!
図3.秩父のオスザル 大腿骨、脛骨、腓骨は後ろから
左:右足根骨と中足骨 中:右脛骨と腓骨 右:右大腿骨
図4.秩父のオスザルの撃たれた右の肋骨 下から

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