2021年12月30日木曜日

動物は自分で自分の身体を擦り減らして生き永らえている  Animals survive longer by rubbing down their own bodies.

ニホンザル以外の狭鼻猿では、11月にもらったタイワンザルMacaca cyclopis、飼育されていたカニクイザルM.fascicularisなどのマカク属とタンザニアでもらったサバンナモンキーTheropithecus aetiopus、拾ったアカコロブスPiliocolobus badius、キイロヒヒPapio cynocephalus、もらったスリランカのハヌマンラングールSemnopithecus enterusなどがあるが、切歯がある程度残っているのは拾ったアカコロブスのオスなどがいる(図1,2&3)。
図1.オス・アカコロブス頭骨の正面
図2. オスのアカコロブスの頭骨の底から
右犬歯と左第二切歯は拾った時に既に欠落
図3. オスのアカコロブスの下顎の上から
アカコロブスの上顎の犬歯や切歯は磨り減っている事が解かる。さらに、下顎の切歯や犬歯も前臼歯や臼歯と比べると磨り減って歯の表面のエナメル質が磨り減って象牙質がかなり露わに出てきている。クリックして拡大すると良く解りますよ。
ニホンザルは雑食性であるが、アカコロブスは葉食性の狭鼻猿だ。彼らは自分の下顎の切歯を上顎の切歯に嚙み合わせて互いに擦り減らし、上顎の犬歯によって下顎の第一前臼歯を擦り減らし、犬歯をも擦り減らしている。下顎の切歯で上顎の切歯を擦り減らしているのはネズミやウサギの仲間もそうだ。しかし、彼らの切歯は根が無いので死ぬまで伸び続ける。
15歳まで生きた我が家のクロは上顎の第三切歯が下顎の犬歯によって随分擦り減っている(図4)。エナメル質、象牙質を擦り減らし歯髄にまで達しそうになっている。クロは食べる度に歯が沁みて痛んだことだろう。クロは歯と同じように歩き方も老犬特有のぎこちない歩き方になり、死んでいった。当然、生理機能も劣化していたであろう。
図4. クロの上顎の第三切歯の摩耗

サルもネズミやウサギもイヌも歳をとるということは自分で自分の歯を擦り減らして生きている。どうも、動物が長く生きると云うことは、歯ばかりでなく自分の身体を自ら擦り減らして生きていくことなのだろう。それが老化であり、さまざまな生理機能が劣化して高血圧になったり血糖値が高くなったり、腎臓や肝臓の機能が落ちたり、癌になったりするのだ。
ぼくは幸い筋肉を含む運動機能と歯や目、耳の劣化と高血圧等を自覚している。一つを治してもまた違うものを治さなければ日常生活が難しくなっている。それが可能なのも後何年かな?              

0 件のコメント:

コメントを投稿