前顎骨を鼻骨との関係を調べていて、前顎骨にはたくさんの別名があることが分かった。それらを並べてみる。
①切歯骨、②間顎骨、③顎間骨、④前上顎骨、⑤ゲーテ骨、そして⑥前顎骨がある。
①切歯骨(os incisivum ラテン語):これは切歯が萌出する骨の意だ。ヒトの解剖学用語ではこれが用いられている。
②間顎骨と③顎間骨、④前上顎骨:家畜解剖学で使用されている。
⑤ゲーテ骨:あの「若きウエルテルの悩み」を書いたゲーテが、ヒトの子供や乳児の骨を調べて動物との結びつきを解明したのでこの名がついたようだ。
実は、ぼくがどうして前顎骨と云う言葉を使い始めたのか、不思議になったのだ。と云うのも前顎骨をネット検索してもそのままでは出てこない。どうもぼくは後藤・大泰司編「歯の比較解剖学」医歯薬出版を読んでから使い始めたようだ。魚の解剖学では前顎骨を使っている。
尚、前顎骨は英語でpremaxillaであり、maxilla(上顎骨)の前(pre-)にあるということでpremaxillaになり、その和訳としてそれぞれの分野の研究者が④前上顎骨、⑥前顎骨を使い、ヒトの解剖学者が切歯がでる骨の意で①切歯骨を使い、左右の上顎骨の間にあるので②間顎骨や③顎間骨と云い、ゲーテが解明したことから⑤ゲーテ骨とも云うようになったようだ。まー、いくつかの別名があってもそれがどこの骨か判れば良い。何も〇〇専門家の言葉でなくても良いのだ。
図1. ニホンザルの頭骨♂
pm:前顎骨、m:上顎骨、n:鼻骨、l:涙骨、j:頬骨、f:前頭骨、s:側頭骨、p:頭頂骨、ma:下顎骨
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