上腕骨:トガリネズミ目のモグラ科のアズマモグラやヒミズは地中でトンネルを掘って生活している。そのため、上腕骨はアカネズミの形状とは大きく違っている。モグラの上腕骨(図3,5)は脊柱に対して横に出ており、トンネル内の土の下の土を掘るのではなく横の土を掘るような骨の構造になっている。さらに何とトガリネズミの上腕骨(図11,12)はヒミズのもの(図7,8)ものとほぼ同じ形だ。
図1. アカネズミApodemus speciosusの上腕骨と尺骨、橈骨、後ろから
図2. アカネズミの上腕骨と尺骨、橈骨、前から
図3. アズマモグラの上腕骨、前から
図4. アズマモグラMogera woguraの尺骨と橈骨、前から
図5. アズマモグラの上腕骨、後ろから
図6. アズマモグラの尺骨と橈骨
図7. ヒミズUrotrichus talpoidesの上腕骨と尺骨 前から
上腕骨長さ10mm、幅5mm
図8. ヒミズの上腕骨と尺骨 後ろから
図9. ジネズミCrocidura dsinezumiの上腕骨と尺骨・橈骨 前から
図10.ジネズミの上腕骨と尺骨・橈骨 後ろから
図11. トガリネズミSorex caecutiensの上腕骨と尺骨・橈骨 前から
上腕骨長さ7.5mm、幅4mm
図12. トガリネズミの上腕骨と尺骨・橈骨 後ろから
こう見てくると、前回アップした肩甲骨で壊れたトガリネズミのものをジネズミと同形だと推察したが、これは大きな間違いであり、ヒミズの肩甲骨と類似した細長い形状と考えた方が妥当である。それは、恐らくトガリネズミはジネズミような地上性ではなく、ヒミズのような半地下に通路をつくる生活をしている可能性が高い。
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