2020年2月17日月曜日

テンは腐肉を殆ど食べない!Japanese martens eat scarcely carrion!

今回は伊勢沢林道で滑落したオスジカの死骸を見たので、テン糞の中に当たり前のように、長いシカ毛が入っているものと思った。
しかし、テン糞1は細かな植物繊維質だけが残り、これは水生植物食のカモ糞と間違えて拾ってきた。カモ糞との間違いは1,2度ではない何度目だろうか?それにしても良く似ている!
水洗いしたものを鉢受けに空けて、シカ毛を探したが、獣毛が出てきたのはテン糞5、6、8でテン糞7と9は羽毛であった。これはどう考えたら良いのだろうか?滑落死体には頭部にも毛皮が残っており、ハエまで集っているのだ。何故、長く太いシカ毛が出てこないのか不思議でもある。テンは腐肉漁りはしないということか?

ADWを見た。アメリカテン(Martes americana)は腐肉を食べるが、ニホンテン(M.melampus)の方には腐肉・死肉carrionは載ってない。で、ぼくのデーターを調べた。55個の糞にシカ/カモシカの毛の混入の記載があり、その内41個がタヌキ、テンが6個、アナグマが2個、キツネが5個、イノシシが1個であった。糞総数が1703個の内、テンが1127個、タヌキが300個、アナグマが76個、キツネが19個、他にイタチ、クマ、ハクビシン、アライグマなどがある。タヌキやテンがシカやカモシカを襲って食べるとは考えられない。猟期に撃たれて勢子から逃げたが打たれた傷が元で死亡した個体や滑落死した個体の肉を食べているものと思われるが、300個のタヌキ糞の内シカ/カモシカが42個であり、1127個のテン糞の内僅か8個しかシカ/カモシカ毛が含まれていない。これらの8個の糞をしたテンは腐肉ではなくて、まだ死んで間もない個体の肉を食べたのかもしれないが、腐肉を食べたのかも知れない。
統計的有意差を出すまでもなく、シカ/カモシカを食べているのは圧倒的にタヌキであり、テンは殆んど食べないと云っても過言でないかもしれない。テン糞の多さから判断するとテンがシカ/カモシカを食べるのは死んでまだ腐ってない時なのかも知れない。
テン糞1
これは、1~4ミリの植物繊維だけなので、
テン糞は誤りでカモ糞と思われる。
テン糞2
腐葉砕片、4cmムカデ、昆虫外骨格
テン糞3
キブシ種子、腐葉砕片、昆虫脚・外骨格
テン糞4
キブシ種子、サルナシ種子、腐葉砕片、昆虫脚・内翅
テン糞5
キブシ種子、腐葉砕片、小動物毛・骨片多数、節足動物肢・外皮
テン糞6
キブシ種子、サルナシ種子、腐葉砕片、小哺乳類毛・2-3m骨片、昆虫外骨格、節足動物外皮・肢、砂泥
テン糞7
キブシ種子・果肉・果皮、腐葉砕片、昆虫翅・肢、直翅目翅、羽毛
テン糞8
キブシ種子、腐葉砕片、モグラ毛・爪・小臼歯・橈骨・骨片
テン糞9
キブシ種子、羽毛・骨片・爪・第一指骨・頭蓋骨
テン糞10
サルナシ種子、腐葉砕片、節足動物外皮、砂泥

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