奥野隧道から桃ノ木林道を詰めて旧登山道に出、そこから旧道を歩いて柏原ノ頭をピストンして車を置いたところまで戻った(図2)。テン糞(図1)を見つけたのは図中の赤丸のところであった。
伊勢沢林道から桃ノ木林道の一部は沢沿いに生えるフサザクラやコクサギなどの樹木があったが、大半はスギの植林帯の中を歩いた。テン糞を見つけた廃道付近だけが二次林の自然植生であった(図3)。伊勢沢林道を歩くと随分テン糞を見つけるので、伊勢沢林道の周辺を見ると、成る程とうなづける訳だ。周囲は植林ではなく二次林だ(図4)!スギの植林帯を利用するのはムササビ、モモンガなどがいるが、テンはスギの木そのものを利用することはないだろう。
図1. テン糞
図2. 2020年2月4日に歩いたルートとテン糞の位置
図3. グーグルマップで見た植生図とテン糞位置
GPS Photo Taggerから
歩いたルート:紫色の線 テン糞位置:赤丸 伊勢沢林道:赤の↓
スギやヒノキの植林地帯は濃い緑色となっている。
さて、拾ってきたテン糞は洗って花鉢受けに空けて眺めていると、臭いはテンではなくタヌキ糞の嫌な臭いである。どうして、タヌキ糞の臭いがするのだろうか?
内容物は、キブシの種子多数と果肉・果皮、腐葉砕片、ヒノキの葉片、不明動物質(図4)、サワガニ脚、ムカデ頭部胴体、カマドウマ脚・翅・外皮、砂泥
である。恐らく、このテンはまだ木に残っている萎んで乾燥したキブシの実を食べたり、タヌキのように落ち葉などが積もり重なった腐葉層を漁ったのだろう。そこにいたムカデやサワガニ、カマドウマなどを食べたために、それが、タヌキ糞の臭いと似るのだろう。
ところで、図4の不明動物質は何であろうか?洗って3時間くらい乾かしたものだ。濡れているときも大きさ・形・色は変化がない。ガスの火で焼くと爪や髪の毛が焼けたような臭いがするので動物質とした。ピンセットで摘んで力を入れて絞ると潰れる。以前にも何度か糞の内容物で見たことがある。
図4.不明動物質
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