2020年1月16日木曜日

ウサギのような齧歯目のチンチラ  Chinchilla of Rodentia like Lagomorpha

14日、15日の火・水と今年初めての学校があった。温かいのか寒いのかどうもはっきりしない気温だ。外歩く時はマフラーやコートが必要だが、室内や電車内はコートは必要ない。その調節が面倒だ。

南米チリの北部のアンデス山麓に生息しているチンチラChinchilla lanigeraという一見するとウサギの仲間かと見間違うような動物を見たことがあるだろうか?是非ネットでもご覧いただきたい。見た目はウサギみたいだが齧歯目(上下に一対の無根の切歯を持ち、犬歯が無い)である(図1)。昨日、学校の飼育室でチンチラを見せてもらった。もう、かなりの年寄りのようであって、眠たいのかなかなか目を開けてくれなかった。大きな耳と大きな可愛い目をして、フサフサしたリスような尾をもっている。木製の木箱は周りが齧られており、ウサギのような顔や身体だが、木箱を齧るのでネズミだと云うことが分かる(図1)。
図1.専門学校で飼われている老齢のチンチラChinchilla lanigera
正月に齧歯類の頭骨を整理していたらチンチラの頭骨があった。ラベルを見ると、2001年8月にチンチラの死体を貰って、頭骨標本を作っていたのだ(図2~5)。
図2.チンチラChinchilla lanigeraの頭骨正面から
正面から見ると眼窩下孔が眼窩くらい大きい。
図3.チンチラの頭骨上面から
頭骨上面からは頭頂骨の後ろ左右、外耳孔の上に丸く膨らんだ骨がある。これは乳様骨(多くの哺乳類では外耳孔の後ろにある乳様突起となる)と云うようだ。前頭骨からの後眼窩突起はまったく欠如している。
図4.チンチラの頭骨左側面から
側面から見ると外耳孔は大きく、聴胞も大きく膨らんでいる。
図5.チンチラの頭骨底面から(左)と下顎(上面から)
図5からチンチラの歯式は1・0・1・3/1・0・1・3である。咬面は横に山と谷がはいっている。多くの哺乳類でそうであるが、下顎の臼歯は上下左右に動く杵に相当するため、上顎の臼歯よりも下顎の臼歯の方が擦り減っている。

齧歯目は小さなシカに似たマーラやこのウサギのようなチンチラやカピバラや滑空するムササビなど多様な動物たちがいる。さらに食肉目にはネコやイヌような動物からアザラシ、セイウチのような海生の鰭脚動物までと幅広い。更にさまざまな動物たちが入っているのは鯨偶蹄目だ。クジラやイルカのような鯨類からカバやシカ、イノシシまで同じ仲間だ。我々ヒトが属する霊長目は多様性が無い。同じようにウサギ形目や翼手目も多様な動物が含まれてはいない。これはどうしてだろうか?かっては存在したが絶滅してしまったのだろうか?それとも動物系統分類の問題だろうか? 滑空するサルの仲間や海を魚のように泳ぎ回るサルの仲間がいたら、さらにはヒトでも多様な生態・行動・生理をもった人種がいたらどのような世界を作り上げていただろう?

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