日本産のイヌ上科の動物にはイヌ科のノイヌ、キツネ、タヌキとイタチ科のイタチ、テン、アナグマの頭骨以外の骨を持っている。日本には他にクマ科、アライグマ科、さらには鰭脚類がいるが、ぼくは標本を持っていない。図1はTCA専門学校のイヌ(たぶんビーグル)の骨格標本である。脛骨tと腓骨fは足首の方で癒合しているのかいないのか良く判らない。
図1.イヌCanis familialisの骨格(TCA専門学校で)
f:腓骨 t:脛骨
拡大しても一つ良く判別できないが、イヌの脛骨と腓骨は別々である。
図2.図1の下肢の拡大
手持ちのイヌの頭骨は5個あるのだが、脛骨や腓骨の標本は持ってないので、同じイヌ科のタヌキ(図3)とキツネ(図4)の脛骨と腓骨を示す。脛骨と腓骨が別々の骨となっている。しかし、腓骨が細い。
図3.タヌキNyctereutes procyonoidesの右脛骨と腓骨
図4.キツネVulpes vulpesの右脛骨と腓骨
このキツネは子どもであり、上顎下顎とも乳歯である。
これらカイイヌ、タヌキ、キツネは腓骨が細いことから後足の内旋・凱旋は難しいだろう。
では、イヌ亜目に含まれるイタチの骨を見よう(図5)。下は千葉県鴨川の大山千枚田での轢死体を友人のIさんより横浜でプレゼントされたものだ。
イヌやタヌキ、キツネに比べるとイタチは小さな動物だが、腓骨は太くしっかりしている。
図5.イタチMustela itachiの脛骨と腓骨(上が右で、下が左)
では、同じイタチ科のアナグマを見よう(図6)。このアナグマは鹿児島県串間市で轢死していたものを晒骨してサル仲間のWさんが送ってくれたものだ。骨盤が割れて欠損していたり、右の膝から下がない。写真でも判るように軟骨部分が骨化していないため、まだ若いその年生まれの乳離れを終えたくらいの個体と思われる。脛骨の軟骨部分は見当たらないが、イタチよりも太い脛骨をしている。
図6.アナグマの左の脛骨と腓骨
イヌ科のカイイヌのダックス、タヌキ、キツネたちとイタチ科のイタチとアナグマの腓骨を比べるとイタチ科の動物の方が腓骨が太く頑丈である。このことは、イヌ科の動物よりもイタチ科の動物の方が足首を前後・左右に頻繁に動かしていることが判る。
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