2019年8月13日火曜日

カモシカとシカの頭骨の違い:2)側面から The difference of skull between Japanese serow and Sika deer: 2)from lateral view

丹沢山塊にはイノシシやカモシカ、シカが生息しているのでその死骸や頭骨を見つけることが多い。イノシシの頭骨はカモシカやシカの頭骨と見誤る事はないと思うが、まだ頭骨観察が少ない初心者だとカモシカやシカの頭骨を区別できないかもしれない。
山塊で見つける頭骨は完全なものなどなく、大半が割れたり、齧られたりして欠損している部分がある頭骨である。そんな頭骨の一部が欠損していてもカモシカかシカかを同定できるように両者の頭骨の違いを調べてみた。
側面から
カモシカの全顎骨は鼻骨に接しないが、シカでは接する。
カモシカもシカも涙骨は窪む。が、シカでは涙骨と前頭骨と上顎骨に囲まれた部分の上顎骨が欠損する。
カモシカの前頭骨頬骨(後眼窩)突起と涙骨を結ぶ眼窩上縁の前頭骨は厚く、眼窩口に向かって穏やかに下がるが、シカでは眼窩口上縁の前頭骨は薄く、水扁に眼窩口に向かう。
カモシカの眼窩下孔は第一前臼歯の上に位置するが、シカの眼窩下孔は第一前臼歯の前にある。
 図1.カモシカ頭骨 側面から
図2.シカ頭骨 側面から
カモシカやシカの頭骨を見ただけですぐ区別しているのはカモシカやシカの頭骨のこれまで述べてきた以外のはっきりといた言葉では言い表せない違いがあるからである。それを誰もが区別できる違いとして表現できないもどかしさを感じる。例えば、臼歯から眼窩口までの長さではカモシカの明らかにシカより長い。また、頬骨弓はシカの方が明らかに長い。

暑い日が続いているが、山へも行きたい。しかし、大型台風の接近でここ藤沢でも今朝から3度雨が降っている。そのため、開け放している我が部屋のガラス戸を閉めなくてはならず。その時はエアコンつけっ放しの居間に行き。米国の動物たちの図鑑を眺める。北アメリカには日本とは比べられない程たくさんの哺乳類がいる。しかも、それぞれについて頭骨、フィールドサイン、生態、生理・行動が一般書として出回っており、その内容の詳しさに驚く。動物学というか博物学のレベルが格段に高い!
日本でも、野山が好きになり、国内の数少ない哺乳類に興味を持ってくれる子供たちが増えてくれるように祈りたい!

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