2017年5月6日土曜日

ミシシッピーワニの頭骨? The skull of Mississippi alligator?

子供の日の5日、専門学校で高校生向けの体験授業をした。自然・野生動物専攻の授業に参加したのは、さいたま市から来た2年女子と中野区からきた3年男子の2名だけであった。他の専攻は10名を越える生徒が来ているのに野生はいつも少ない。でも、今日は2名も来たという感じだ!
高校生が来る前に教室に置かれている頭骨を見ていた。ワニと思われる頭骨があった。野生動物の副担任のHさんに訊くとミシシッピーワニAlligator mississippiensisのようだ!
ぼくのガラケー携帯で写真を撮ることにした。
右側面からのAlligator mississipiensis?
いつも哺乳類の頭骨に見慣れているので、ちょっと不思議な感じ!先ず、ん?と思うのは、哺乳類では顎関節は、下顎骨の関節突起が頭蓋骨・側頭骨の下になるのだが、コヤツは頭蓋骨が下顎骨の上に乗っている。さらに上下の先の尖った鋭い歯が交互に歯間の隙間を埋めている。上顎骨の歯が下顎骨の底辺まで伸びていたり、また、下顎骨の歯が上顎骨の上の方までまるで哺乳類の犬歯のように伸びている。
こんなのに咬まれたら口を開かない限りズタズタに切り裂かれてしまう。そう、スポンジのように骨の構造だが、骨質が哺乳類のイヌのようにガッチリしている。
上面からの頭骨
鼻先にある鼻孔と思われる穴、眼窩と思われる穴、さらに側頭窩と思われる穴、また、頭頂部にある二つの穴がある。
底面からの頭骨
裏(底)から見ると、先の方に切歯孔と思われる穴があり、口蓋骨の左右に大きな穴がある。哺乳類では、この左右の穴が側頭窩になるんだろう。ん?後鼻孔に当たる穴がない。
後面からの頭骨
大孔がある。左右の張り出ているのが、下顎骨の上に乗る関節突起ということになる。じゃー、大孔の下方でハの字型に開いたのは何だ!聴胞が無い。ワニは音はどこで感じるのだ?

この頭骨はミシシッピーワニということだが、Mark Elbroch 著 "Animal Skulls" STACKPOLE BOOKS のミシシッピーワニの頭骨では口吻の幅がもっとあり、頭骨の最大長が271mmなので、このワニは生後間もないワニということなのかな?イヤ、そんなことはない。生後間もなくの個体だとするともっと口吻が短い筈だ。そうすると、コヤツはミシシッピーワニではない。ネットで調べた。
解った!コヤツは、北米南部にいるミシシッピーワニではなく、南米の北部にいるブラジルカイマンPaleosuchus trigonatusだ!っと同定した。このカイマンはメスでは全長約 1.3mくらいのようだ。いずれにしても、来週学校へ行く時はカメラを持って行こう。

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