2017年5月2日火曜日

後眼窩突起突起と頬骨前頭突起が合着したノイヌ The canis sp. whose postorbital porcess joined with zygomatic process.

昨日、築地書館より少し大きめの封書が届いた。その中には、「頭骨コレクション」の読者の新潟県妙高市のOさんからの封書が入っていた。Oさんは、公社)日本犬保存会のメンバーであり、現在審査員として会の活動に参加しているようである。そして、その会の機関紙に下のようなノイヌの頭骨の写真が載ったようだ。

Oさんは飼育した柴犬や、野外で拾ったキツネやタヌキの死骸も標本にして蒐集しているようである。それ故、Oさんはイヌ科の動物の頭骨は熟知しており、Oさんの言葉を借りれば「イヌ科の動物は眼窩の縁取りはない」はずですが、下の写真のイヌには、、、、。Oさんは、骨格写真集や犬学書などを調べても、機関紙に載った下のような眼窩輪を形成しているイヌは載っていないので、このような頭蓋骨のイヌはどう考えたら良いものか?と云う質問の手紙であった。
公社)日本犬保存会の機関紙に載った高知県吾川村のK氏保管のイヌの頭骨写真

ぼくも日本産のイヌ科の動物が上の写真のように眼窩輪が形成されている例を知らない。
下は、タヌキの幼体とオトナの頭骨だ!幼体では後眼窩突起は発達していないが、オトナでは発達して頬骨の方に向かっている。つまり、後眼窩突起突起や頬骨前頭骨突起は成長するにつれて発達して伸びてきて、眼窩と側頭窩が明確になってくるのだ。
タヌキの幼体(左)とオトナ(右)の後眼窩突起突起(丸で囲った部分)


日本犬保存会の機関紙に載った上記の写真のイヌ、歯の摩耗状態は判らないないが、矢状縫合が隆起していること、後頭骨頭頂部から側頭骨にかけても凄く盛り上がっていること。これらのことからこの個体は歳をとった個体であることが判る。タヌキの例からすると、このイヌは歳をとるにつれて異常なくらいに後眼窩突起突起や頬骨前頭突起が伸びて癒合・合着した非常に稀な個体だと考えられる。
以上の事を書いて今朝Oさん宛てに出した。

0 件のコメント:

コメントを投稿