2014年9月28日日曜日

リスの脛骨と腓骨   The tibia and fibula of Japanese squirrel

水に浸けて腐らせておいたリス(Sciurus lis)が、動物蛋白質分解酵素を混ぜたため
かなり肉がバラバラになっていた。
昨日、知りたい知りたいと思っていた下肢の膝から下の部分を大腿骨から離して、
古くなった歯ブラシを使って水道水で洗いながら徐肉した。
骨に付着していたものは爪で無理やり剥ぎ取った。
それが①である。
①の上が腓骨で下が脛骨だ。
リスの脛骨と腓骨は完全に二つの骨に分かれている。

②(ラットのもの)、③、④、⑤は白銀林道のフクロウのペリットから出てきた
リスと同じ齧歯目ネズミ科の動物の脛骨と腓骨である。
どれも踵の方で合体している。
日本に生息している翼手目を除く陸上性の哺乳類で、
脛骨と腓骨がネズミのように合体しているのは、
モグラやジネズミなどのトガリネズミ目の動物や、ウサギ目の動物、シカやカモシカなどのようなシカ科やウシ科の動物、同じ偶蹄類でもイノシシの脛骨と腓骨はリスのように分離している。

気になったので両性類・爬虫類を調べてみた。カエルは合体しているが下肢の脛骨と腓骨は
分離しているものが多い。
もちろん、恐竜たちも分離している。
と云うことは、トガリネズミ目も齧歯目やウシやシカの祖先たちも脛骨と腓骨は分離していた。
それが進化の過程で、しだいに合体していったと考えられる。
リスは、他の齧歯目のネズミ科のものたちとは、頭骨なども随分異なる。
リス科の動物たちは後眼窩突起が明らかだが、ネズミ科は不明瞭だ。
さらに、リス科の歯式は上下とも1・0・1・3だがネズミ科は1・0・0・3だ。
もともと哺乳類の祖先たちは目が良かった。
骨は動物の体の中では一番変わりやすい。いわばどうにでも変化する。
リス科よりもネズミ科の動物の方が特殊化が進んでいると考えられる。
これらの事から、齧歯目の中ではネズミ科の動物よりもリス科の動物の方が
齧歯目の祖先型に近いのでは?
もちろん、最新のDNAを用いた分類学では明らかにされているのだろう。
そのあたりのこと文献など教えてください。

ネズミの脛骨と腓骨は踵の方で合体しているが、生後間もなくのネズミの脛骨と腓骨は
離れているんだそれが日齢を経るとともに合体していくのだと思われる。
つまり、足首を回転させなくなるからだ。
となると生まれたばかりのリスの足首を固定すればリスの脛骨と腓骨も踵の方で合体するだろう。

木曽の御嶽山が爆発した。
木曽のサル調査で2度登っている。日本は火山列島であることをあらためて思い知らされた。
いつも起こる自然災害を乗り越える生き方として、ぼくらは過去の事を水に流すように
くよくよしない淡泊な精神をもつようになったのかな?

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