2014年4月28日月曜日

アカネズミの臼歯の歯根:上顎は3本、下顎は2本 About the number of molar’s root of Apodemus speciousus: maxila has three and mandible has two.

アカネズミApodemus speciosusの右上顎骨の臼歯である。
左から第一臼歯m1、第二臼歯m2、第三臼歯m3である。
歯根が何本あるかわかるだろうか?
全て3本づつだ。
クリックすると拡大する。
光って半透明な物は木工ボンドである。
上の三本の臼歯を抜いた跡にそれぞれ歯根が治まる穴がある。
アカネズミの左上顎骨の臼歯の咬面である。
今度は、右下顎の三本の臼歯である。
左からm1、m2、m3である。
見てのとおり第三臼歯m3は非常に小さく咬面は1ミリである。
ピンセットで摘まんではじいてしまい、探すのに大変だった。
これらの歯根はどれも2本しかない。
上の3本の歯根がおさまっていた穴が明らかだ。
下顎の臼歯の咬面を見ると、「アレー、これは!
4月27日にアップした「この歯は誰の歯?、、、」
の最後の臼歯の咬面をアップした左上の歯に似ている。
しかも「この歯は誰の歯?、、、」でアップした臼歯の歯根はどれも2本だった。
すると、4月27日アップしたテン糞2から出てきた歯や骨はアカネズミなのか?
でも、テン糞2の臼歯はこのアカネズミの下顎の臼歯にくらべるとひと回り小さいし、
尺骨や橈骨は比べものにならないくらい小さい。
アカネズミのコドモだったのかな?
 
アカネズミの上顎の臼歯は3本の根があり、下顎の臼歯は2本しかないことが分かった。
でも、これは一例だけだ。もう2、3個体アカネズミの死骸を見つけなくては、でも大変なことだ。
bluetittitさんに感謝しなくては、彼女のコメントがなければ木工ボンドで固定した臼歯を水を浸けて柔らかくし、引っ張り出してみようとは思わなかった。
 最後に、このアカネズミの頭骨標本を作ったばかりのころの側面からの写真です。
切歯が黒褐色になっていますが、
今は上顎は薄い赤褐色に、下顎は薄い黒褐色に変色しております。
色は変色するので判断基準としては適さないのかもしれませんネ。
カヤネズミに関しては、4月17日の「カヤネズミだった!」でアップした
臼歯の様子があるので、もっとしっかり臼歯が並んだ標本が手に入ったら紹介させてもらいます。
ちなみにラット(ドブネズミ)の臼歯の歯根を見ました。上顎も下顎も3本以上あり、抜くには相当無理しなければならないので止めました。

4 件のコメント:

  1. おお、すごい! アカネズミの歯の画像、こんなにわかりやすいのは初めて見ました! なるほど、歯根の数ってすごく大事ですね。野外糞から回収した歯から動物種を決める場合って、歯根の数は重要なポイントになると思うんですが、図鑑類にはそこまで載ってないみたいです。「犠牲者は誰だ? アウトドア探偵の糞探し」みたいな本があるとおもしろそう!

    カヤネズミ(現生種)の顎骨ですが、プロスワンに少し出ていました。スクロールしていくと右下の二つが現生種の下顎骨らしいです。たしかにアカネズミとは穴の数が違いますね。

    http://www.plosone.org/article/fetchObject.action?uri=info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0062498&representation=PDF

    第一臼歯?の穴の数が違うのは、成長段階??なんでしょうかねぇ。青森の貝塚だったかでカヤネズミの骨が出ているそうなのですが、やはり歯が決め手になったのかな。

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  2. やはり、歯を抜いて確認しないとダメですね。最近、屍骸が見つかりません。工事のクルマが多いせいなのかな〜。

    「ネズミの分類学」金子之史、私もまだ買ってません。そろそろ読まねば・・・。

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  3. あー、プロスワンのリンクがとんでますね。

    Late Cenozoic History of the Genus Micromys (Mammalia, Rodentia) in Central Europe

    で検索するとトップ表示されると思います。

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  4. bluetittitさんへ
    他人に見てもらう写真にするにはちゃんと木工ボンドを綺麗に拭き取らなければなりませんし、もう少しこのような写真の撮り方をtake隊員やisa隊員から教えてもらわなければなりません。
    自分の目で見たように撮りたいのですが、それできない。

    紹介された論文の図をみました。歯根の数はどうやって決まるものなのでしょう。
    図では、m1の穴の数が違うし、m2やm3の穴の大きさも違います。これは個体差なのか性令差なのか知りたいですね。
    でも、一番頭骨数の多いタヌキでは臼歯の歯根の数や大きさに大差がないように感じております。詳しくはこれから調べなくてはなりません。
    しかし、オオストラロピテクスなどの化石人類などでは咬頭や歯根は種や進化を考えるのに大きな問題とされていますね。歯は固くて化石としても残りやすいので研究対象となっています。貝塚から発掘されたカヤネズミの骨というのも歯ではないでしょうか?でも、本当のところを知りたいです。

    カヤネズミは日本から中国・欧州まで広がっていて一属一種なのでそれだけ変化に富んだ多様な個体を含んでいるということなのでしょうか?
    あんな小さくか弱いのに何だかこれから山を歩く時は少なくなったカヤバに目を凝らすことになります。

    「犠牲者は誰だ?」:節足動物はほとんどお手上げ、両性・爬虫類も種の同定にはまだまだ、鳥類もお手上げ、哺乳類も毛と骨・歯があればどうにか。もっと、もっといろんだ動物の死骸を見つけなければ犠牲者を特定できない。ダメだ。

    「アウトドア探偵の糞探し」:うーん、食べ物を知りたくて仕方なく糞を調べているが、本当は水洗いした綺麗な残渣だけをみたい。

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