2013年2月22日金曜日

モグラの前腕骨 The humerus of a mole.

哺乳類の骨格の形状はどの動物のものであってもほとんど同じであり、
一種類の動物の骨の形を覚えてその骨がどの部分の骨かが分れば、他のほぼ全ての動物に当てはめることができる。つまり、大腿骨はどんな哺乳類の大腿骨でもほぼ同じ形状をしているし、寛骨や他の骨でもほとんどの動物たちに共通した形状をしているのだ。
 
下は、モグラ(トガリネズミ目モグラ科モグラ属)の前肢の部分の骨格である。
Dは肩甲骨で、Eは前腕骨、Fは尺骨と橈骨である。
Eの前腕骨は他の哺乳類のもの著しく異なっている。
モグラは前肢を内から外側へ向けて動かすのに適した骨の形態・構造になっているのだろう。
それが、Eの前腕骨の特別な形状となっているのだ。
 
これは、ハタネズミの前肢と後肢の骨格である。
Dは肩甲骨で、Eは前腕骨、Fは尺骨と橈骨である。
ハタネズミの前腕骨の形状はイヌ、サル、シカなどの他の動物のものとも似ている。
つまり、彼らの前肢は前後に動かしやすいものとなっているのだ。
 
これは、ヒミズ(トガリネズミ目モグラ科ヒミズ属)の骨格の一部である。
Dは肩甲骨で、Eは前腕骨、Fは尺骨と橈骨だ。
前腕骨はモグラのものと同じであり、ハタネズミを含む多くの動物たちのものとは異なる。
 
次はトガリネズミ(トガリネズミ目トガリネズミ科トガリネズミ属)の骨格の一部である。
トガリネズミのEの前腕骨もモグラやヒミズとほぼ同じ形状をしており、
ハタネズミとは大きく異なる。
 
次はジネズミ(トガリネズミ目トガリネズミ科ジネズミ属)である。
Eは前腕骨である。クリックして拡大して見てほしい。
この前腕骨はハタネズミのものと似ていて、トガリネズミやヒミズ、モグラのものとは異なる。
ジネズミは他のトガリネズミ目の動物たちとは前肢の使い方、動かしかたが異なり、ハタネズミやイヌやシカのように前後に動かすようになっていると考えられる。
 
このことは、トガリネズミ目の動物でもジネズミだけが地中、地表面の腐植土の中に
トンネルを作って動き回っているわけではないことが解る。
但し、ジネズミの骨格標本がこれ一つなので、ちょっと心配だ。
 
テンやタヌキなどの動物の糞の内容物として、小型哺乳類の骨が出てきた場合、
歯が入っていれば、属くらいまでは同定できうる。が、他の骨だとネズミかモグラなどと大雑把な推定しかできなかった。これからは、頭骨ばかりでなく全身の骨格をも集めていきたいものだ。
全ての写真はクリックすると拡大します。
HPの自然・動植物・哺乳類の頭骨と骨・骨格に「ハタネズミ、ヒミズ、トガリネズミ、ジネズミの骨格」として、A,B,C,D,E,Fのそれぞれの動物の骨についもアップしました。ご覧ください。

2 件のコメント:

  1. 骨の知識ってどうしても必要ですね。
    隊長の資料で序々に勉強させてもらいます。

    でも、どこかで勉強会をしてもらえるとうれしのですが・・・。

    色々調べていたら面白いブログ見つけました。
    骨専門の研究者なのですかね?

    http://blog.goo.ne.jp/kasuki9ma6

    返信削除
  2. take隊員へ
    ぼくは、骨はまだまだ教えられるような知識を持ち合わせておりません。
    わからないことばかりです。

    飲みながらの話しだとできますが、、、。

    返信削除