2010年9月15日水曜日

ウリボウの下顎骨!

12日(日)にウリボウの様子を見に行って、石組みの枠から引っ張り出された頭骨部分を採集してきて水につけていた。この3昼夜の内にすっかり綺麗になった。
今朝、早起きして洗面所で洗う。
見てのとおり、切歯や犬歯は抜け落ちている。
さらに、まだ骨の各パーツが縫合していないため、水洗いするのにも注意が必要だった。
上からみた頭部、後頭骨部分がそっくり欠けている。
じつは、この下顎骨を皆さんに見てもらいたくて、まだ濡れたままなのに写真を撮った。
左右の下顎骨が正中線でまだしっかり癒合していないのだ。
縫合線が判る。
生後何週目の個体であるかは判らないが、少なくても誕生後すでに左右の下顎骨が癒合してはいないのだ。クリックして拡大して見て!
ぼくは「頭骨コレクション」(築地書館)の17「なぜ、ヒトやサルの下顎骨は一つだけ?」で、
「サルやイノシシたちは離乳が過ぎるころにはしっかり咀嚼できるような下顎骨が必要なので、左右の下顎骨が癒合して生まれてくるのだ。p186」と書いた。
この記載は間違いであることになる。
次のように訂正したい。
「サルやイノシシたちは離乳が過ぎるころにはしっかり咀嚼できるような下顎骨が必要なので、サルでは左右の下顎骨が癒合して生まれくるし、イノシシでは生後まもなく下顎骨が癒合することになるのだ。

一つの事実によってすぐ仮説が覆ってしまう。資料収集をすることを重んじなければいけない。
アフリカの帰りに大英博物館に一度行ったことがある。動物の骨格標本の展示物の多さに圧倒された。なおかつ、地下の部屋は何百という数のクジラの骨格標本があると知って、日本の動物学が太刀打ちするのは難しいかなと思ったものである。

3 件のコメント:

  1. 確かに日本は標本に関しては雑な傾向があるみたいですね。戦時中なんかは標本を東京科学博物館の広場に野晒しにしたようですし。
    災害でも多く紛失したようで・・
    オーストリアやイギリスを見習わなくてはいけませんね~
    ウリボウの下顎の縫合線はとても綺麗な直線に感じます。
    他の哺乳類の縫合線ってもっと蛇行してませんでしたっけ?

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  2. ゆーゆーさんへ
    コメントありがとう。
    どの哺乳類の下顎の縫合線もボンドで貼り付けると綺麗な直線にみえますよ。
    先日の丹沢歩き、A君は喜んでいましたよ。

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  3. ホントですね、家にある数少ない哺乳類頭骨をみるとタヌキやキツネなんかは直線ですね。
    ツキノワグマの縫合線が少し蛇行してたのが印象的だったようです。

    A君は他の二人に比べて体力がありました
    シカの下顎も拾えて喜んでたのでよかったです。

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