2009年1月11日日曜日

ネズミ科の頭骨の不思議

上の頭骨はニホンハタネズミ(茨城県産)のものである。
①:後頭骨、②:間頭頂骨、③:頭頂骨、④:前頭骨、⑤:鼻骨、⑥:側頭骨、⑦:上顎骨頬骨(上顎骨と頬骨が分かれていない)、⑧:上顎骨、⑨:聴胞、⑩:前顎骨である。

ネズミ目(RODENTIA)の中で、ネズミ科(MURIDAE)だけが、ネズミ目の他の動物やサル目(PRIMATES)やネコ目(CARNIVORA)などの他の動物の頭蓋骨には無い骨をもっている。

それは、②の間頭頂骨である。

子供の時ほど骨の数は多いが、成長すると骨の数が少なくなる(例:ヒト子供約270個、ヒト大人約200個)。また、祖先型から発展した動物は骨の数が少なくなる傾向がある(例:ウマの足)。

日本に生息する他の動物で間頭頂骨をもっているのはモグラ目(INSECTIVORA)である。

頭骨の大きな骨の数だけを問題にすると、日本産の動物においては、ネズミ目のネズミ科の動物とモグラ目のモグラ科の動物の頭骨は、哺乳類の祖先型に近いと言えるのではないだろうか。

4 件のコメント:

  1. と、アップして気がついた。
    恐竜では寛骨(腰の骨)が、腸骨、坐骨、恥骨の三つに分かれたままである。哺乳類では、子供期だけバラバラだが、思春期頃には縫合合体し、一つの寛骨となる。

    恐竜や爬虫類の頭骨が知りたくなった。

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  2. あの小さなハタネズミの頭骨がこれほど複雑なのが不思議な気がします。

    親指と人差し指で強く挟んだらつぶれるのではないかと思うぐらい小さくやわそうだったもの。

    骨に守られた脳や内臓などが人間と変わらないぐらいあり、野生の中で敵を避けながら生きているなんて、すごい!

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  3. いやー、このところ頭骨の不思議に魅せられております。

    頭骨で硬くて、変わりようもないような感じだけれで、その動物の行動・生態によっていかようにも変わってしまうのが頭骨であり、骨であります。神経系や、血管系はほとんど変わらないのに、ちょっと生活が変わるとすぐ骨は変わる。

    骨は骨格などと云って、建造物の基本となる骨組みのように思われるが、そうではない。回りの状況によって如何様にでも変わりうるのが動物の骨だ。ということが分かりかけてきている。
    が、まだしっかりした言葉で言い表せられない。

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  4. 間頭頂骨はどうもヒトの解剖では、頭頂間骨とも云われているようで。小泉門の穴がある部分に当たる骨になる。
    インカの人々にはこの頭頂間骨があるとのことだ。
    わざわざこのような記載があるのだから、ネズミのようにはっきり独立した骨としてあることになる。
    クジラにもあり、モグラやネズミばかりでなく、ヒトにもあるのだから多くの哺乳類でありそうだ。
    20090209記

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