歯式と摩耗した歯で野生動物たちの老若が誰にも判断できる。図1~4のイノシシ♂も切歯が摩耗した壮年Full adult/Maturity であることが判る。イノシシの上下の歯式は3・1・4・3/3・1・4・3だ。つまり、哺乳類の基本的歯式そのものだ。が、手持ちの標本では図1のイノシシを含めて3個体の下顎の第一前臼歯が萌出してない。つまり、3・1・3・3になっている。
図1.イノシシ♂の頭骨正面から
図2.イノシシ♂の頭骨左側面から
上顎の歯を見ると(図3参照)、左右の2対の切歯が酷く摩耗し、下顎の切歯も摩耗し、しかも第三切歯まで摩耗している。上顎の左右の第三切歯は少なくても永久歯が萌出した痕跡がない。にも関わらず下顎の左第三切歯が摩耗している(図4)。 図3.イノシシ♂頭骨底面から見た上顎の歯
図4.イノシシ♂下顎骨の上面から見た歯
興味深い事に上下の左右の犬歯が互いに擦り合って摩耗している(図5)。下顎の犬歯は歯髄の中まで見えるくらい磨り減って痛くは無かったのだろうか?ちょっと不思議だ。イノシシの歯だって歯髄には神経や血管が張り巡らされているだろうに。いずれにしても上顎の犬歯はエナメル質と象牙質が削られているが、歯髄にまで達していない。下顎を上下左右前後に動かしてこんなにも犬歯が削られている。これは、同性の♂同士で戦うために武器となる犬歯を尖らすために磨いているのだ。メスは犬歯も短くこれほどにはならない。図5.上顎の下顎の犬歯の摩耗状態
イノシシに見られるような犬歯による摩耗は他の動物にも見られる。



