2012年8月31日金曜日

台湾旅行2):太魯閣渓谷から高雄へ

2日目:高雄泊まり
台風の接近・上陸で花蓮から高雄まで飛行機にするかどうかガイドと相談。
とりあえず、台風の様子見のために、太魯閣渓谷を見に行く。
バス道の片側は渓谷の中を立霧川が流れ、
渓谷の岩棚を崩して、掘って作られた道をバスを走る。
こんな岩場を登るクライマーもいるのだろうと思いながら見上げる。
バスが停車できるスペースのところにトイレがある。 
岩壁にはさまざまな着生ランがあることだろう。

台風による大雨のため、これまでに見られない滝が出現しているようだ。
全て岩は石灰岩から作られた大理石である。
その為、雨が降ると川はセメントと流したように変る。
渓谷沿いのちょっとした平地には綺麗なツル性の木本の花が!
 
この花はその後、各地で見た。
それは、このマメ科の赤い花も台湾各地にある。 
お昼に花蓮に戻り、派手派手の道教のお寺を見たり、花蓮と云えば有名な大理石の加工場を見学したり、戦時中の日本の将校招待所となっていた松園別館というところにも足を向けました。ここからは花蓮の港が一望できます。神風特攻隊が出陣する時もここで天皇から賜った「御前酒」をふるまわれたようです。花蓮ばかりでなく、台湾はいたるところに日本の植民地時代の物が各所に残されております。このため、思わぬところで思わぬ人が日本語で話しかけてきます。
 
花蓮から列車で懐かしい台東や知本を通り、高雄に付く。
翌日、ぼくは仲間と別れて寿山、龍泉寺に出てくるタイワンザルを見に行き、
8月27日にアップしたように、はじめて生きている野生のタイワンザルの群れを観察する。
 
 
 


台湾旅行1):トイレも街も、車内も綺麗!

ちょっと今回の旅行の行程で気が付いたことを
1日目:花蓮泊まり
台湾全体が凄く綺麗に衛生的になった。
台北駅正面である。
台北駅の構内である。 
花蓮行きの列車内、車内は綺麗だ。 
売り子がきた。
さらには、ゴミ集めの女性も頻繁にくる。
台北駅構内で買った駅弁にぱくつく。
カツライスを甘辛く味付けしたものがアツアツのご飯の上にどんと乗る、。 
トイレも衛生的、掃除が行き届いている。
ぼくがこうやって駅構内や車内やトイレについて綺麗だ!
とアップしたのは訳がある。
ぼくが学生の時に来た頃は、道路、駅、車内、トイレといった公共物のところは
それがたとえレストランのトイレでもひどい有様だった。
その名残りがまだ、中国大陸に残っている。
 
この台湾のトイレの汚さの経験から、
海外のサル調査などでそのホテルに泊まれるかどうかはトイレを見て決めた。
安くてトイレが綺麗だったら安全性は二の次だった。
 
トイレは経済的に豊かにならなければ不衛生なままなのだろうか?
否、違う!
1980年代にインドネシアの各島々に行ったが、トイレはどこも水洗で
綺麗だった。
トイレの使い方は、国内便の空港のトイレや飛行機のトイレにもあらわれている。
中国では、人の排泄物をそのままブタのエサにするように、ウンチを汚い物とは
考えていないのかも知れない。
 
ドアは全て自動ドアだ。
花蓮駅に着いた後、
ホテルの売店の物は高いので、コンビニのセブンイレブンがあったので、買い物だ。
ぼくは、ジョニ黒と酒の摘み類を買う。 
おにぎりが売っている。 しかし、さすがに赤飯のオニギリは無い。
オデンまで売ってる。日本のコンビニと変わらない。 
店を出たら、クロネコヤマトの宅急便の車だ。
風景が南国だが、日本国内と変わらない。 
これから、まっすぐアミ族の踊りを見に行く
ぼくらを除いて大半は中国からの観光客だ。
ダンスが始まる。
なんだか北海道のアイヌ民族の衣装にも似ているかなと思う。
このダンスを見て、ホテルへ。
 
明日は、箱根の山で「森をつくる動物たち」のフィールドサイン観察会だ!
20数名の24歳から71歳までの人たちが集まるようだ。
テンやタヌキのウンチが見つかるかな?
残暑の中の山道だが、600メートル以上のところなので、平地よりも涼しいだろう。
今日は、これから専門学校の高校生向けのチャレンジキャンパスである。
昨日までの夏休みボケから脱却しなければならない。

2012年8月30日木曜日

フランソワ・ルトンの繁殖センターへ To breeding colony of Francois' leaf monkey

広州から西へ:
西安から広州に飛び、空港でK.W氏の教え子の張君が出迎えてくれる。
張君は西北大学から京都大霊長類研の大学院に進学し、
現在は中山大学の人類学の先生だ。
翌日、彼と彼の家族を乗せて一路、広州から西方のフランソワ・ルトンの繁殖センターに向かう。
一泊二日の旅行であり、この旅行で喉を風邪気味となり、喉をやられる。
それは、車の中は冷房しているが、外気温が高いため、出たり入ったりでやられた。
その行程はGPS軌跡ではこうだ。クリック拡大
 
繁殖センター方面に行くのに、張君は、この地方出身の学生を途中で乗せる。
それは、大学では北京語が共通語であるが、地方ごとの方言があり、地方には北京語を理解できない人たちが大勢いるからだ。
中央のテレビ局の番組・ニュースには北京語の字幕スーパーが出るが、地方テレビ局のものには字幕スーパーが出ない。漢字は理解できるが、発音が違うのだ。
繁殖センターは立派な建物であった。
今の中国はコンクリートの箱物が次々に作られている。
所長さんより、昼食を御馳走される。
フランソワ・ルトンとはこんなに真っ黒のサルだ。
石灰岩の山がある洞窟を利用するコロブス亜科のリーフイーターである。
両クチビルの端から耳にかけての頬の毛が真っ白で面白い。
繁殖は成功しているようで、数が増えているようだ。
で、増えた個体を山へ放獣したいが、どのようにしたら上手くいくかと質問を受けた。
人なれしたサルの放獣は難しいので、飼育方法を考え直さなくてはいけない。 
全ての個体に首にマークング用の札がぶら下げられている。 
メスはこのような股間部も白い。 
横浜動物園ズーラシアにもこのフランソワ・ルトンがいるので、是非見に行ってください。
 
ここは、観光スポットになっていて、一般観光客も入ってくる。
建物をはいると、ヘビやトカゲや???のオドロオドロシイホルマリン漬けや、アルコール漬けの
中に、恐竜の頭の化石があり、その左の皿に乗っているのは豚肉石で、
まるで、豚肉の切り身そっくりだ。 
無造作に置かれ、誰もが自由に触れる下のものが豚肉そっくりの石だ。
台北の故宮博物館に豚肉の角煮状の小さな石が展示されていた。
それに比べるとすごい迫力だ。中国大陸の大きさがわかる。 
ここから南はすぐベトナムである。
人々のクチビル、顔が漢族と異なる。
食事は、香辛料を使わない薄味が多く、米料理が多い。
 


2012年8月29日水曜日

タイワンザルの動画

続)タイワンザル
早朝、泊まったホテルから寿山を見たところだ。
高雄駅がこの写真の右の方にあり、ホテルと寿山と高雄駅とは
一辺が2キロくらいの正三角形で結ぶことができる。
下のような配置である。
歩いて、寿山へ行こうと考えていたが、同行の連れ合いや連れ合いの友人夫婦たちとの
待ち合わせの場も考えて、ガイドの女性の勧めもありタクシーで行くことになった。
2時間で1500元(約4千円)ダ。
タクシーで10分くらいで神社の前まで、4頭のタイワンザルの銅像がある。
このサルを見て、またサル糞を見て、絶対サルを見れるという確信をもつ。
すぐ細い参道となり、両側には出店が並ぶ。
はじめは出店の用意をする人たちや参道を登る人たちが少しだけだったが、
ぼくがサルを見ている間に、軽登山姿の人やハイキング用シューズを履いた人などの
老若男女が参道を埋め尽くし始めた。
ぼくがサルの写真を撮っているのに気が付いてカメラを向ける人たちもいる。
しかし、サルは全く参道を歩く人々には無関心。
ガイドはサルは飛びつく、危険だと云っていたが、
ここの群れはまったくそのような行動は見せない。
動画も撮ったので、見てもらいたい。
次の動画は、アカンボウの取り合いである。
この行動はシルバールトンなどのコロブス亜科のサルたちで見られるが、
ニホンザルの仲間のタイワンザルで報告はあるのだろうか?
このところのサル学の勉強不足で、この行動はぼくには初めての知見である。
その動画をどうぞ!
今回の台湾は、往路・復路ともに台風の隙間を縫っての旅行であり、
ガイドさんから、ラッキーツアーと云われた。
タイワンザルも見られて、まさに、ラッキーであった。


2012年8月27日月曜日

タイワンザルだ! Formosa macaque in Taiwan.

とうとうタイワンザルに会った!
46年前に初めてタイワンザルを求めて、台湾に来て以来、6度目の台湾だ。
今回は台北、花蓮から、列車で台東を回って高雄にきた。
高雄駅の近くには寿山があり、タイワンザルがいる。
46年前にもやはり、寿山に入ったが、当時はまったく見られなかった。
それは、当時は狩猟対象にされていたからだ。
それが今回はどうだ、前もってネットで調べていたものの、いとも簡単にサルに会えた。
ホテルからタクシーで寿山の龍泉寺に連れていってもらう。
神奈川県伊勢原の大山の参道のように、階段があり、その周囲は食べ物屋や土産物屋が並んでいる。階段を上り初めてすぐ、新しいサル糞を見つける。 
もう、サルを見つけたような気持ちだ。
なんと、目の前の木の中にタイワンザルがいる。
メスだ。今年生まれのアカンボウもいる。

何と東屋の屋根の上にもいる。
もう、嬉しさでいっぱいだ。とうとう生きているタイワンザルを見ているんだ。
今までは、猟師の人に山を案内してもらったため、サルの声を聞いても、ぼくらはそれ以上進むことができず、猟師が這って接近してサルを撃つ。
善意でぼくらに協力してくれる猟師にサルを撃たないでとは言えなかったのだ。
それが、どうだ。目の前にタイワンザルがいる。 
 
参道はたくさんの人々が朝の軽い散歩を楽しんでいる。
サルたちに向かってカメラを向ける人たちも多い。
サルが人に危害を与えるような行動も見られない。
サルは参道を歩く人々を無視している。 
 グルーミングしながら、されながら歩く人々を見たりする。
メスの顔をアップだ。 
ネットができる環境のホテルの滞在だが、一回1000円くらいで高い!
ノートパソコンを持ってきて、タイプしているが、これがなぜか変なのだ。
タイイピングがうまく作動しない。
ともかく、台湾からタイワンザルをアップすることができた。
今回はずーと台風14号、15号の影響で、思うように計画が進まないが、ぼくにとってはサルに出会ったことだけでもうOKだ!
 
 


2012年8月25日土曜日

続続々)秦嶺山脈のキンシコウ 4:Golden monkeys in Quinling mountains.

キンシコウの写真の続きである
休息状態であったキンシコウの群れも、再び、移動を開始し始めた。
彼らは、採食して休息して、移動して、採食して休息を繰り返す。
採食時間よりも休息時間が長い。
ニホンザルなら休息時間も個体間では親密なグルーミング関係ばかりでなく、
攻撃などの敵対行動も見られる。
しかし、リーフイーター(葉食者)であるキンシコウはニホンザルやヒヒの仲間、チンパンジーと比べるとほとんど個体間の争いは見られない。穏やかな個体間関係を形成している。
そのため、ぼくらサル観察者にとっては、退屈極まるサルでもある。
休息して寝てしまうと10分も15分も同じ状態でいるからだ。
まるで、草食動物のウシやシカの集団を見ているようだ。
 
寝入っていたアルファオスが目覚めたようだ。
セルフグルーミング(自分で自分の身体をグルーミングすること)を始めた。 
下の横倒しの木の上の単雄群の個体たちを、他個体の動きをみている。
こちらの一塊の単雄群も目覚め始めたようだ。 
目の前の枝上にはいつの間にか4頭以上(ぶら下がっている尾が4本あるの分りますか?)になっていた。
彼らもそわそわし始めている。 
コヤツがこちら見て、移動開始。 
単雄群のメンバーがまとまり始める。 
アカンボウを胸に抱えて跳ぶ。 
キンシコウたちは、互いに声をだしながら自分たちの位置を確認している。
騒々しくなってきた。
キンシコウもチンパンジーもそうだが、斜面の下に下る時は
木から木へ跳び移る。
しかし、斜面を登る時は、木から下りて、地面を歩く。
キンシコウたちは、斜面を下るのだ。
いつの間にか、あのアルファオスがいない。すでに移動したのだ。
ぼくらも斜面を下る。いつの間にか斜面は沢となる。 
足元は浮石だらけだ。
後姿は王さんと侯君だ。彼らは登山靴ではなく、普通の運動靴だ。
しかし、浮石なんのそのスイスイと下りて行く。バランスが良いのだ。
が、やはり何回か滑って尻餅をついている。ぼくもそうだ。
尻餅は織り込み済みだから怪我などしない。
途中で、移動中の群れの中に入る。
侯君が「まだ、サルを追いますか?」と聞いてくる。ぼくはもう十分だと答える。
歩くには、太い木の杖が欲しい。今回はストックを持ってきていない。
もう、16時を過ぎているから、これで辞めようと云う。
急遽、王さんは、沢を下る、下る。浮石、滑る岩、足元が不安定なのに、王さんは早い。
ぼくは王さんはときどきぼくらを待っている。
侯君はぼくの辿ったところを付いてくる。今度はぼくが侯君を待ち受ける。
 
実は、昨日から台湾にきている。46年前にタイワンザル調査と称して台湾に船でやってきたのが最初だ。その時は生きたタイワンザルを見ることができなかった。
しかし、今回はみるぞ!
 


2012年8月24日金曜日

続々)秦嶺山脈のキンシコウ 3:Golden monkeys in Qinling mountains.

ぼくは今66歳である。ぼくをここに誘ってくれた和田一雄さんは、
2000年前後に秦嶺山脈のキンシコウを追跡していた頃は、
現在のぼくの歳をすでに越えていた。
にも関わらず、二人で急斜面のザレ場をグリセードで一気に下ったり、
(その時ついてきた西北大学の学生が滑落して大けがをした。)
岩場をバランス良く、登ったりしていた。
当時、ぼくは膝の痛みに苦しんだが、和田さんはそんなこともなく山を登り下りしていた。
2003年には、有に70歳を超えていた。あのプロスキーヤー?の三浦雄一郎とは
学生の頃、同じ部屋で暮らしたようだ。
となれば、彼ら戦前生まれは粗食に耐えて少年、青年時代を過ごしてきたわけだ。
それが、生きる力のようなものを生み出させているのかもしれない。
 
さて、キンシコウである。
横倒しの太い木の上では一組の単雄群のメンバーが休息しているようだ。
手前の木が邪魔だが、、、。
近くのこの2頭の子どもは互いにグルーミングをし合っている。 
 ホィ!と声を出して、彼らの反応をうかがった。
2頭とも振り返って、こちらを見てくれた。
まるで、「あんたそんな湿ったところに座って何しているの?」と問たげだ!

今度は、こちらを見ながらグルーミングだ。 
 今のぼくのホィという呼びかけの声に、40mくらい離れた横倒しの木の上の個体を
こちらを見ている。
やはり、彼らはぼくらを気にしながら休息していたのだ。
が、このアルファオスは寝入ってる?
動じない。そんなお前たちの声でいちいち反応などしていられるか?
という感じで、苦み走った顔をしている。
下唇の端のイボ状のものがかなり大きい。乳首も脇の下の方によっている。 
 立派なオスだ!
横倒しの上のサルたちは再びグルーミングを始めた。
左側の奥にもまだ他の個体がいる。 
奥の大きな木につかまっているのが、この単雄群のアルファメールか?
と思ったが違った。 
オトナメスであり、他のオトナメスをグルーミングしている。
中の2歳くらいのチビがこちらを見ている。 
何となく、全体が騒々しくなった。休息が終わったようだ。
移動し始めるのかな? 
行動や社会学的観察なら、こうやってカメラを構えることは少なく、
ほとんど双眼鏡だけで観察する。
太い木の上には何頭いるか?
チビの性別は?
グルーミングの時間や部位や、どんな個体と?
個体間の距離は?
しかし、ぼくは写真を撮ることが目的なので、ファインダー越しに考えるだけで、
分らなくても双眼鏡で確かめようとはしなかった。
それにしても、カメラの機能をもう少し理解してカメラを上手に使えるようになりたいものだ。